ひかりごはん

　喉越しのよい、さっと読めるような短歌も多い中で、何度も反芻しながら言葉をほぐすことで広がる作品が多い印象でした。初めのうちは「どういうことだろう。」と考えながらも、自分の脳内と作品の解釈がピタッとハマる瞬間があり、その折り合いこそが短歌の魅力であり、ラグジュアリーな時間の使い様なのかもしれないと思いました。

　特にアンテナに引っかかったのは『見るknife〜』の危うさと一途さ、『雨は泣く〜』のそれぞれの世界や自然に対する在り方、『もしこれが〜』のネット文化と現実のシンクロ具合。

　『ラーメン屋〜』や『今日も〜』は短歌の作り手としての在り方も作者様に教えてもらえた様に感じました。『スロウ…続きを読む

私の記憶が確かなら、
作者は短歌研究新人賞を受賞されていると思います。
無論、同姓同名かもしれませんが。

しかし、切れ味鋭い本作の短歌を読んでいると、
おそらく、あの石井遼一氏なのでしょう。

とにかく、ワードチョイスのセンスが抜群で、
さすがだなと感嘆させられました。

ラーメンに月の平べったさを言う　いつも死なないように狂って

例えば2首目のこの歌は、特にミステリアス。
なぜ月がひらべったいと思ったのか、
そして誰が誰に言った言葉なのか、
さらに、下の句では、
狂うことで辛うじて生きている、
そんな静かな叫びが聞こえてくるようです。

口語短歌の最前線の短歌集。