8月のグルメ旅
東井タカヒロ
8月のグルメ旅
僕はよく、1人旅をする。
日本の様々な名所や、観光地へ旅をする。
1人は時々寂しいけれど、1人だからこそ、得られる旅もあると思う。
今日も僕は、電車で旅をする。
今日の僕は何の目的もなく、ただ適当な在来線に乗る。
路線図も、時刻表さえ見ない。
ただ、自分の直感が行きたいと思う方へ進む。
こういう時、青春18切符が役に立つ。
在来線が乗り放題になるという、使い勝手の良い切符だ。
何駅が過ぎ、都会のビルを抜け、山や田んぼが見え始めてきた。
今どこにいるかは分からない。
だけど、それだから、わくわくする。
列車が揺れ、エアコンの音が聞こえる。
好奇心の音が僕を駆り立て、景色が目に焼き付く。
ある駅に着き、なんとなくで降りる。
その駅は、道の駅と併設している駅だった。
「そろそろ飯の時間か」
腕時計の針が12時を指していた。
僕は昼ご飯を探しに、道の駅へ入る。
中は涼しく、夏には良い避難場所となった。
野菜や、土産などが売られていて、特に卵は美味しそうだった。
駅の中にあるレストランで、昼ご飯を食べることにした。
自然豊かな食材を使ったカレー。
そんな宣伝に釣られた僕は、それを食べることにした。
どんな味なんだろうと想像しながら、楽しみを増やす。
いざ、運ばれてくると、そのカレーは輝いていた。
カレーの匂いと、野菜の匂いが混じり、美味しいと言わんばかりの匂いがする。
野菜は、人参、ジャガイモ、ナス、アスパラガスが入っているようだ。
定番なものもあるが、中々入れないような野菜も入っている。
すくいあげたカレー熱気から、お腹が空いていく。
一口食べると、野菜の甘みや食感がカレーと合って美味しい。
アスパラガスのコリコリ感と、ナスのゆるゆる感が絶妙だ。
そして、僕は思いだしたかのようにスマホを取り出す。
1枚だけ写真を撮る。
習慣というか、記録というか。
ここに行き、食べたという証明な意味を込めて撮っている。
別に誰に見せるわけでもない。
そうしたいから、そうしてる。
そうして僕は、カレーをそのまま飲み干した。
「ごちそうさまでした」
土産を何個か見繕って、駅へ戻る。
僕は駅の写真や、地名などの写真は極力撮らないようにしている。
それは、こういう旅が一期一会だから、その瞬間を大切にしたいから。
しかし、暑いから次の電車、早く来て欲しいな。
8月のグルメ旅 東井タカヒロ @touitakahiro
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