また、桜が咲くころに会おう ～声が春を連れてくるボイスドラマ～

毎年春、満開の桜の下で、
彼はもう二度と触れられない声を待ち続ける。

かつて「好きだ」という言葉を飲み込み、
まだ時間はあると信じていた。
けれど時間は花びらのように、彼女のぬくもりのように、遠くへ流れていった。

いま、風が彼女のやわらかなささやきを運ぶとき、
彼は目を閉じて耳を澄ます。
その声が、もう少しだけ側にいてくれるように。

これは、置き去りにした後悔と、
散りゆく桜と、風だけが知る言葉の物語。
そして花びらの音に溶けて、まだ息づく愛の物語。

この作品は、第4回「G’sこえけん」オーディオショートストーリーコンテストに応募しています。
企画の趣旨に沿って、可能な限り//効果音 を使用しています。
目で読むだけの小説ではなく、声と音で感じてもらうことを前提に執筆しました。
読み…続きを読む