第二部 悪夢

三十二刀目 悪夢の始まり

俺が家に向かって歩いていると、途中、ある家の前を通る。

その家に、一人の男が、ドアを蹴破って入っていくのを、見てしまった。

数分後、家の中で叫び声が響き、さっき家の中に入っていった男が、血まみれになって家から飛び出してきた。

血まみれの男は言う。


「お前の魔法のせいだからな!」


次々に辺りに人が集まってきて、一斉に俺を責め立てた。


「お前が魔法を制御できないから」「体調崩したりとかするから」

「お前のせいで死人が出た」


「お前が、殺した」


俺は、バッと起き上がる。

……夢か。

俺の息は多少荒く、鼓動も早い。

あれは、夢。

実際に俺が殺したわけじゃない。

そう言い聞かせても、どうしても朝のラジオを思い出してしまう。

男に付いたあの血を鮮明に思い出してしまう。

俺は、ふるふると首を振って、頭の中からその記憶を消そうとするが、無駄なことだ。

もう一度、眠ってみることにした。


翌朝、俺はほぼ寝ていなかったせいで、とんでもなく寝不足だった。


「どうした、大和。あまり寝てないのか?」


「うん……。寝る度に同じ悪夢を見続けて寝れなくって」


「そうか。寝不足だと免疫力落ちるからな、今日は家にいろ」


「うん、わかった」


最近、冬和の言うことを聞いてばっかな気がする。

冬和に頼りっぱだ。

俺もお兄ちゃんなんだし、冬和に頼らずしっかりとした人になるべきのような気もする。

また、冬和に、お兄ちゃんって呼んでもらいたいし。

それがいつになるかは分からないけど、いつかは言ってもらいたい。

まあただ、今は体調も悪いし、少しぐらいは冬和に頼ってもいい……と、思いたい。

俺は、人に頼らないとやっていけないから。


個人魔法も、そういうものだしな。

……個人魔法は、もしかしたら、使う本人に少しぐらいは左右されるのかもしれない。

だとしたら、すごい発見だ。

俺が読んできた本のどれにもこんなことは書いていなかった。

まあ、偏見とか主観が入ってくるからかもしれないけど。

さて、家にいろとは言われたものの、どうするべきか。

俺は、図書館で冬和に大量の本を借りてきてもらい、その本を読み漁って1日を過ごした。




俺が家に向かって歩いていると、途中、ある家の前を通る。

その家に、一人の男が、ドアを蹴破って入っていくのを、見てしまった。

数分後、家の中で叫び声が響き、さっき家の中に入っていった男が、血まみれになって家から飛び出してきた。

血まみれの男は言う。


「お前の魔法のせいだからな!」


次々に辺りに人が集まってきて、一斉に俺を責め立てた。


「お前が魔法を制御できないから」「体調崩したりとかするから」

「お前のせいで死人が出た」


「お前が、殺した」


俺は、バッと起き上がる。

……夢か。

今日もまた、同じ夢を見た。

俺は、ため息をついて寝転がった。

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