写真を送ります。

孝彩

写真を送ります。

―ポンー

 メッセンジャーアプリの通知音が鳴った。友人からメッセージと共に廃墟の写真が送られてきた。


“今日の夜、ここに肝試し行かねぇ?”


 送られてきた廃墟は地元では有名で、やれ幽霊が、やれラップ音が、などとよくありがちな現象が起こるらしい。僕は心霊オカルトが大好きだったので友人からの願ってもない誘いに快諾した。


“んじゃ、夜の9時に公園で待ち合わせな!”


 今から楽しみで仕方ない。最近は何回目かのオカルトブームで様々なコンテンツで怖いものを摂取することが出来てとても良い時代だと思っている。夜のお楽しみのために怖い映画を見ながら怖い話を聞く…僕は贅沢な待ち時間を楽しむことにした。

 約束の時間が迫り僕は公園へ向かった。時間も時間なので辺りは静けさに包まれ、心もとない消えかけの街頭に照らされた公園は少し不気味で僕は心が躍る。

『おーす。お待たせ』

「全然。早く行こう!」

『すげぇ楽しそう、ほんとに好きなんだな。お前」

 公園にきた友人も少なからずワクワクしているだろうから表情は明るいが、それを上回る僕の楽しみ顔には負ける。

 目的の廃墟は待ち合わせの公園から徒歩20分ほどの距離にある。真偽は定かではないが廃墟となったこの大きな屋敷は昔金持ちが住んでおり、夜中に財産を狙う親族が屋敷に忍び込んで一家を惨殺、金目の物を盗み逃走。その後の犯人の親族は逃げる途中で事故にあい亡くなった。生き残りもなし、犯人も死亡、そのため事件は本当の意味での解決には至らなかった。…この廃墟はなんとも後味の悪い事件の現場だ。

『さっそく入ろう。正面は鍵がかかってるから裏から回るぞ。秘密の抜け道があるんだ』

「よく調べてあるね。君のおかげでスムーズに入れそう」

 2人は裏にある小さな納屋へ向かう。そこには地下室への入り口が隠されていて、その納屋は施錠されていなかった。

「なんで、ここは鍵開いてるんだろう?」

『ここの鍵は納屋の入り口にあるブロックの下に隠されてるからそれで開けたの」

 本当に調べ上げてくれていて助かる。納屋へ入り地下室へと向かう。

―ポン―

メッセンジャーアプリの通知音だ。見ると目の前の友人から写真が送られてきた。写真には仲睦まじく映る4人家族。

「この写真なに?」

『あぁ。それはここの前の住人。外面が良いから周りの人間は皆だまされる。悪魔みたいな奴らなのに』

 住人の情報までも調べ上げる彼には感心させられる。同じオカルト好きとして羨ましいほどの能力だ。僕が思うにオカルトにおいて裏付けとその場所で起きた事や人物の情報を持っているという事は強みだと思っている。

 屋敷を探検していると家族が惨殺されたであろうリビングに着いた。床には黒く変色した箇所があって起きた事を想像すると不謹慎ながらドキドキした。

「ここが殺害現場っぽいね」

『そうだよ。ここで皆でお茶を飲んでいたんだ、みんなが集まっていたからチャンスだと思った。だからここで殺した」

 本当に彼はよく調べてあるし、考察も素晴らしい。

 調べられるところは全て探索し、そろそろ引き上げようと帰る支度をしていると、また写真が送られてきた…今度はどこかの交差点の写真だった。

「これ、どこの交差点?」

『これは、逃げるときに事故をおこした現場だよ』

「へぇ。、まぁ犯人が事故った現場は行かなくてもいいかなぁ…今夜はもう帰ろう」

 そう言うと、2人で屋敷を出て集合場所だった公園に向い、その道中に僕は彼に屋敷の事を調べ上げていて素晴らしいと褒めちぎった。

『そんなことない。ただの事実だし、それにこの事件の犯人は財産目当ての親族じゃなくて地下室に閉じ込められていた5人目の家族だよ』

「そうなの?すごい調べたんだね…というかどこが情報源?」

『情報源?…俺』

「え?」



―ポンー

写真が届く、地下室にある牢屋のような所。

―ポンー

写真が届く、地下室の階段を上っている所。

―ポンー

写真が届く、広い廊下とリビングの扉。

―ポンー

写真が届く、リビングで仲良くお茶を楽しむ家族。

―ポンー

写真が届く、血まみれの家族とその家族の真ん中で泣きながら笑う友人の彼。

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