神代/呈(編纂中)
長い年月の末に再び街を築き上げた人を見守るのは天使。楽しげに営みを見守る。天使はただ一つの存在だった。星と共に常に在る。名もなき海を由来としない、発祥の異なる存在。天使は常にどこかに在った。
龍も天使も神話に消える頃、人は龍の骸の外に出る。言葉を交わすこともなくなった獣の領域に街を作ってひっそり過ごす。時々栄えもしたが、人と獣、あるいは人と人が対立し、争いの火に飲まれて消えた。
呈の時代は喪失とともに語られる。人は徐々に魔法を失っていった。蝋燭の火が消えるようにゆっくりと道行きが暗くなっていった。魔法の力が貴重になれば不安が満ち、祈りと争いが絶えなかった。魔法を操る最後の一人は巡礼の旅に出ると書き置きを残して姿を眩ませて、それで人の世から魔法は消えた。
再び技術のみに頼る生き方を取った彼らは『街の人』と呼ばれることになる。ひととして、この星の生物として特異であり、星の循環からも切り離されている。
変わらず魔法を操る古い種のひとは水や木々など、収束の流れに身を委ね星との回路を維持した。以降人とひとは異なるニュアンスで呼ばれるようになる。
観測者の手記 ほがり 仰夜 @torinomeBinzume
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