三篇の花をモチーフにしたホラー作品の短編集ですが、おすすめはラストの朝顔です!!
こちらは文体も変えておられまして、語り手の視点から状況や場所など、会話の中で把握していきます。
この文体が見事なトリック要素といいますか、読み手に様々な結末を想像させてくれます!
現場には訪問客と朝顔。凄惨なラストを彩った犯人は美しい花なのか、それとも……?
どの作品も最後のどんでん返しが鮮やかで面白く、怖くもありますが、その先を想像するとわくわくしてしまうような素晴らしいホラー作品です!
万人におすすめできる傑作ですよ(*'▽')
日本において、夏は刹那的。(近年では熱射病などが危険ですが)お天道様の下にいても生命の危険は遠く、思考は熱気に浮かされ感情が優先し、我が身から昇るものが遮られず放たれて。
一夏の恋としばしば申します。そう言えば、植物の花は、生殖器です。美しく、下卑の欠片もありませんが、命が交わるところにあるのは確かで。
短編三編を読み通すと、気づけば何れも男女の関わりの話でした。それぞれの姿は異なり読者の予想を裏切ります。そう言えば、本作は花の話でしたね。
一夏の、何か。恋とか、愛といった名前からほど遠い、艶めかしくて、禍禍しい、何か。
花は香りもします。香りに思考は浮かされて……
植物をテーマにした、幻想と怪奇、そして狂気の入り乱れる三つの物語。
「蛇苺」下の子が生まれたせいで居心地の悪さを覚える少年が主人公。家出をした先で知り合った少女は、どこか人間とは違う雰囲気を持っていて……。
「睡蓮」母親の違う姉妹の物語。「姉」である彼女は妹と仲良くしたいと思うが、ある時をきっかけにその関係性が崩れていく。
「朝顔」部屋の中で変化朝顔を育てるが、頭蓋骨のような大きさの巨大な実が成るなど異様なものが出来始める。
どれもカラーが違っていて、すごく読み応えのある物語でした。
植物という、「人間とは異なる感覚」を持った生物。それと関わる中で発生する、狂気めいた感覚や、人智を超えた呪縛など。
蛇苺のラストのゾワッと来るような余韻。睡蓮の主人公である「姉」が抱えていた「性質」が睡蓮の花に投影されながら徐々に顕在化していく姿。「朝顔」での異様すぎる環境がもたらすもの。
青春小説のようでもあり、ちょっと変わった家族小説でもありながら、最後には隠されていた呪力や狂気が噴出し、読者を恐怖の世界にいざないます。
怖さと美しさが見事に調和し、まさに植物の蔓のように、じわじわと、そしてしっかりと心に絡みつくような作品集でした。