植物と共に描かれる、呪縛や狂気の物語。それはひそかに心の奥へ絡みつく
- ★★★ Excellent!!!
植物をテーマにした、幻想と怪奇、そして狂気の入り乱れる三つの物語。
「蛇苺」下の子が生まれたせいで居心地の悪さを覚える少年が主人公。家出をした先で知り合った少女は、どこか人間とは違う雰囲気を持っていて……。
「睡蓮」母親の違う姉妹の物語。「姉」である彼女は妹と仲良くしたいと思うが、ある時をきっかけにその関係性が崩れていく。
「朝顔」部屋の中で変化朝顔を育てるが、頭蓋骨のような大きさの巨大な実が成るなど異様なものが出来始める。
どれもカラーが違っていて、すごく読み応えのある物語でした。
植物という、「人間とは異なる感覚」を持った生物。それと関わる中で発生する、狂気めいた感覚や、人智を超えた呪縛など。
蛇苺のラストのゾワッと来るような余韻。睡蓮の主人公である「姉」が抱えていた「性質」が睡蓮の花に投影されながら徐々に顕在化していく姿。「朝顔」での異様すぎる環境がもたらすもの。
青春小説のようでもあり、ちょっと変わった家族小説でもありながら、最後には隠されていた呪力や狂気が噴出し、読者を恐怖の世界にいざないます。
怖さと美しさが見事に調和し、まさに植物の蔓のように、じわじわと、そしてしっかりと心に絡みつくような作品集でした。