俺たちはソロプレイヤーになるしかないんだ。
@siyu_create
第1話 もう一つの箱
今まで必死に生きてきた。
勉強、部活、趣味などなど。
失敗を繰り返しながら、地道に努力をしてきた。
しかし。
いつから.
いつから間違えたのだろう。
外はセミの合唱が鳴り響き、布団は暑すぎる。でも、そう。
布団から出れないのだ。今は大学一年生の夏らしい。
「バイトでいっぱい稼ぐぞ!」
「金欠でヤバイ(汗)」
世ではこんなフレーズが飛び交っているらしい。生憎だが、何を言ってるのだか。
そもそも、金を稼いだところで大した使い道もない。そのうえ、労働はクソ、だ。
はぁぁ。こんな暗いことを考えているとため息が出てきた。
人と話さないでいるとどうやらこうなるらしい。
充実した日々を送りたいだけなのに。
ピンポーン
インターホンが鳴ったようだ。
俺はわずか五秒でクローゼットから服を出し、着替えを終えた。
「こちらにサインをお願いします」
俺はサインをする。
「ありがとうございました」
「お疲れさまです」
っと会話とは言えないが、少し人と関わった。
二つの箱。
一体中身はなんだろうか。どうせ深夜に焼けクソで買ったものに違いない。
とりあえず一つの箱を開けてみることにした。
・・・。思ったよりもマシなものだったようだ。
ー服ー
少し心が躍ったような気がした。特段服が好きとかそういうわけではない。
でも、新しいものって少しワクワクするように思う。
そして気づいたら、外にいた。
そしてさらに、瞬きをしたら、カフェの前にいた。
けど、足が動かない。
「なぜだって?」
「少し考えてみて欲しい。ここにいるのは引きこもり男子大学生」
「そこにカフェという場所」
「では答え合わせといこう」
目の前にはおしゃれな外観に内装。店内からは高い声が聞こえてくる。
単純に男一人では入りづらいのだ。
非常に残念だが、適当なチェーン店で昼を済ませるか。
しばらく、人ごみに揉まれながら、歩く。ああ。見てしまった。
あの人パスケース落としたよ。誰も気にしない。
やれやれ。
不親切な世の中だ。
俺は早歩きで拾い、追いかける。
「たぶん、あの人のはず」
人に話しかけるのは緊張する。
耳が熱い。
「すいません、これ落としましたか?」
「私のかもしれません。確認しますね」
がさがさ。
「私のみたいです」
彼女は、ほっ、としたようだ
「わざわざ届けてくれてありがとうございます」
「いえいえ」
俺の目に思わずキーホルダーが目に留まる。
「そのアザラシのキーホルダー可愛いですね」
「いいですよね、これ」
そう、あの愛らしい眼差しがたまらないのだ。
「私、カフェでバイトしてるんですけど、そこのマスコットなんですよ」
「へぇー、珍しいマスコットですね。そのカフェってどこにあるんですか?」
「なんだか、行ってみたくなってきました」
「本当ですか?!」
彼女の顔が明るくなる。
日焼けしそうなくらいに。
「なら、お礼に案内しますね」
よくわからないが、目的だったカフェに行くことが出来そうだ。
今更だが、これってナンパにならないだろうか。
まぁ、この際どうでもいいか。
炎天下の中を10分くらい歩いた。
「着きました。ここです」
どうやら、さっき入りたかったカフェのようだ。
少しうれしい。
こんな偶然。
「暑いので早く入りましょうか」
「そうですね」
俺たちはソロプレイヤーになるしかないんだ。 @siyu_create
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。俺たちはソロプレイヤーになるしかないんだ。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます