手のひらのドラゴン

まえとら

手のひらのドラゴン

むかしむかし、あるところに、

心優しい人々が静かに暮らす、小さな王国がありました。


お城には、体が弱く、いつも病気がちな、一人のお姫様が住んでいました。


ある日、お姫様は、湖までお散歩に出かけました。

そこで、色とりどりに咲く綺麗なお花を見つけました。

ひらひらと舞っているのは……蝶々でしょうか?


お姫様がそっと近づいてみると——

なんと、それは蝶々ではなく、小さなドラゴンではありませんか。

そのドラゴンは、お花の蜜を吸っていました。


お姫様が手を差し出すと、

ドラゴンはふわりと舞い降りて、お姫様の小さな手のひらにとまりました。


「バイバイ。またくるね」


それからというもの、お姫様は、毎日のお散歩が楽しみになりました。

小さなドラゴンとお姫様は、仲良しのお友だちになったのです。


——けれど、ある日。王国に戦の影が忍び寄ります。

たくさんの兵隊たちが攻めてきて、お城は燃えはじめました。

お姫様の命が危ない!


その時——空から小さなドラゴンが現れました。

けれど兵隊たちの目には、それは恐ろしいほど大きなドラゴンの姿に見えたのです。


「うわあああっ!」


兵隊たちは、大慌てで、みんな逃げていきました。



あの頃よりも、少し大きくなった自分の手のひらを見つめながら、

お姫様は静かに、そして幸せそうに微笑みました。


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