まえとら

深夜25時30分、いつものラジオ番組が突然告げた。 「ゾンビが発生しました」 受験勉強に励む少女。夜食を用意して眠る母。トラックで高速を走る父。 離れていた3人は、ラジオを通して…

飢饉にあえぐ人々の前で、姉が妹に差し出した一切れの芋。 奪い取ろうとする者、そしてそれを守る一振りの刃。 極限の飢えの中でも、人はまだ分けあうことができる——。 わずか一切れの芋…

引っ越したばかりの、少し寂しい部屋。 ふと迎えた金魚は、夜になると人の姿で現れる不思議な存在だった。 「金魚が１匹、金魚が２匹……」 彼女がいられるのは、たった３分。 眠れない夜…

黄色いイチョウの葉がひらひらと舞う季節。 子どもの頃、かあさんと拾ったギンナン。 ころころ、くんくん、カンカン、しゃかしゃか── 五感で覚えたあの秋の記憶が、今、わたしの中にふた…

真夏の夜… 波間に映る満月が、まるで海月のように揺れる夜。 空を飛びたいと願ったクラゲちゃんは、お月さまにそっとお願いをします。

ひとりぼっちのシーソーに、ありんこがのぼり、ちょうちょがとまり、ネコやこどもたちがやってくる。 ぎっこんばったん——小さな出会いがつながって、シーソーは、たのしくやさしい場所に変…

かつては台風が来ると胸が高鳴った。ワクワクしていた—— そんな少年は大人になり、今では「台風一課」の職員として、 被災地の最前線に立っている——

悪魔召喚の儀式――成功するはずだった。 だがその瞬間、「くしゃみ」が、すべてを狂わせた。

お姫様と小さなドラゴンの友情

植物から生まれる動物。 風船のような、海月のような、透明な「気クラゲ」。 空気を浄化し、夜には発光し、時に人を運び、時に食料となる。 この不思議な生命体と共に、人類は空中で静かに…

とある軍事施設の町と日常。 蜘蛛の巣のように張り巡らされた利権と思惑。 絡め取られた人々の行く末に、平和の意味を問う。

日常の何気ない時間、キッチンで交わす会話。 一緒に料理をする、ただそれだけで幸せ。 こんにゃくを手綱に結ぶように、ほほえましいふたりの未来。

野ウサギは、雪でできた儚く美しい「雪うさぎ」に恋をしました。

教会の麓の公園、子供たちの笑い声。 そして、空には薄明光線。

星間移動。 果てなき宇宙を旅する窓の外には、闇にまたたく星々。 惑星間を行き交う光跡…

カッターは紙を切る道具だ。 しかし、ある日「切られたくない紙」の声を聞いてしまう…

苦労ばかりしているお婆さんがいました。 ある日一羽の雀が現れます。 お婆さんが最期にみつけたものとは…

雲に閉ざされた地上。 星を知らない人たちが暮らすの海底都市。 窓の外を見上げると「流れ星」のような光が走る。 それは“ホシイカ”。

天空を駈けるペガサスの親子。 しかし、ペガサスの小さな子は母とはぐれ、地上へと堕ちてしまった。 村人に囚われたペガサスの子に、一人の少女が手を差し伸べる…

夜の診療所に、ぬいぐるみを抱いた少女が訪れた。 ぬいぐるみに丁寧な手当てをする医者と、見つめる少女。

山奥のガラス工房で、一人静かに暮らす男。 面倒な人付き合いを避けてきた彼のもとに現れたのは、尻尾の短い一羽のカラスだった。 どこか不器用で、けれどあたたかい。 一人と一羽と一つ…

ススキが揺れる秋の原っぱで、男の子とキツネの女の子がかくれんぼ。 ふしぎな出会いのお話。