概要
夢と影が交錯する、儚き十の幻想譚
『夢幻泡影』――夢・幻・泡・影という四つの儚い象徴をめぐる、全十話の幻想短編集です。泉鏡花の耽美な語感を残しつつ現代文で綴った物語は、夜の静寂にひそむ灯りのように、読者の心に淡く残光をともします。
第一章「夢」では真夜中しか開かない礼拝堂に立つ花嫁が、一夜限りの存在を求め、「幻」では星降る宙の取引所で記憶と未来が静かに交換されます。「泡」では干上がるプールに浮かぶ硝子の少年が、消える瞬間に“わたし”だけへ視線を残し、「影」では姿見の奥に置き去りにした感情が再び語りかけます。
そして「夢幻泡影」で、散らばった断章はふたたび融け合い、読み手自身が「泡影を識る者」となる――。
カクヨムにて六月中旬より毎日更新予定。どうぞ薄明の路地へ足を踏み入れ、泡のように儚くも確かな一瞬を、わたしと共に見届けてください。
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