日常にうまいこと溶け込みながらも癖の強さを隠しきれない、斬新なテンプレートモキュホラーシリーズの新作がなんと、コンテスト応募用の特盛スペシャルでした。
ブラックユーモア全開のホラーコメディから始まった分、ジェットコースター並みの緩急を感じますが、子供も大人も親近感を味わいやすく、誰もが歩む道で出会う様々理不尽に思わず自分の人生を重ねてしまいます。
伏線が綿密に貼られていたので、推理が当たる爽快感をたらふく味わえる素敵なミステリー作品でもありました。
限られた情報量で考察を掻き立てるテンプレートパートで終わらず、モキュメンタリーならではの丁寧な考察と答え合わせの提示の仕方にもとても感動しました。
コメント欄と合わせるとより楽しめますが、ヒントの過剰摂取注意です!
余談ですが、私はホラー耐性がある程度身についた人間なので、ミステリー作品にありがちなサイコパス探偵の如く、人の生死をただの“エモさ”として消費する悪癖がありました。
食物アレルギーに日々苦しまれているため、ホラーコメディとして描かれていたはずの1日目の献立表の冒頭で、絶対に意図しなかった方角からの恐ろしさを思いっきり浴びました。
他のみんなが普通に食べられている物を自分だけが食べられない生活に、“食育”のスパイスが効きすぎて、最高にホラーでした。
めでたしめでたしです。
時間割の下にあるあれ。献立表。真面目に見たことある? 給食の名前だけじゃなくて何が入ってるかまで。掲載されてるのは殺人事件のレシピ。堂々と書いてあるけど誰も気づかない。
「だって給食にヘンなもんなんて入ってるわけないでしょ?」
思考停止の中で我らは何でも美味しく食べている。
――でも牛肉って、よく考えたら牛の死体だよね?
ほんの少しの気づきで、美味しい食材は死肉に変わってしまう。なのに先生に「ちゃんと食べなさい」と言われ、また思考停止に身を投げる。ああ、給食って楽しいばかりでない、こういう時間でもあった。
今回のジロギン・ホラーは、献立の中で殺人事件が実行されているのを隠しもしない。
食べ物なのか、死体なのか、表裏一体で認識が入れ替わりながら、誰もそれに言及しないのが最高に面白くて、どこか黒い意味でノスタルジーでもある。この作者は給食をわかっているね! さあ犯人は誰なのだろう?
献立表と睨めっこしてみよう。
気づいちゃいけないものが、見つかるかもね。
知らなければ、おいしいけどね。
ジロギンさまの作品には独特のほろ苦い口当たりがあって、それがホラーを引き立てる大きな魅力になっています。はっきりと主張するわけではないけれど、確実に味覚を刺激してくる苦味のもとは、作品ごとに異なりますが、本作は教育界が抱える闇でしょうか。
元来、子供のためであったはずのいくつもの輝かしい制度が、いつの間にか変質し、陳腐化し、形骸化し、しがらみはいつまでも教員たちに、そして時には子供たちにも絡みついて、自由に身動きさせません。その上に引っかかり溜まっていく、時代ごとの新たな問題点。いつしかそれは、誰も浚おうとすらしない暗い混沌となり、たまたまはまった人間を飲み込みながら、いつまでもそこに留まり続けます。
本作はE中学校で2004年に提供された六月一か月間の給食をいちにちいちにち追っていく形式で幕を開けます。学校給食のどこに、そんな闇が入り込めるのか? それはぜひ、自己責任で、本作をお読みになってご確認ください。
数々のモキュメンタリーホラーを書いてきたジロギンさんの新作。
あれだけ書いたんだし、もう斬新なものは出せないんじゃないかと思ったら、こういうやり方があったか、というかんじ。またもや驚かされました。
我々読者は、どこかの学校の給食の献立表を見ることになります。
読んでいると昔を思い出してまた学校の給食食べたいなあなんて思っていたら、なんかおかしいものが混じっているような……
ま、まあ、でも、変なのがちょっと混じっているだけだし、生徒たちの健康に問題はないよね?
と考えていたら、後にとんでもない事態になってしまいました。
どうなってしまうかは、実際に読んで確かめていただきたいです。
きっと衝撃を受けることになりますよ。
そんなかんじで前半の異物がまぎれている献立表を眺めるのも楽しかったんですけど、後半の警察の取り調べパートがミステリー色が強くなってさらに面白くなってきたように感じます。
どう考えても、単独犯ではないこの事件。
警察は共犯者を探そうと、被疑者と関係が深い人物から話を聞くのですが、刑事の話し方とか相手の受け答え方にリアル感があって、こちらまでなんだか緊張してしまいました。
いったい共犯者は誰なのか……この物語、最後まで目が離せません!
都内のとある中学校の給食メニュー。生徒たちの食べた感想と保健室からの体調を気遣うコメントが寄せられる不穏なレポートで展開される。
献立表をよく見ると材料にさりげなく恐ろしい違和感が……生徒たちはそれらを美味しそう?に食べた感想を綴っている。
歯ごたえが少し気になる、何か味付けが少し濃いような……しかし、それを感じさせない前向きな言葉でコメントフィニッシュ。
奇妙な清々しさだ。
「固いやつ、何かわからないけど噛みごたえあって好き」
「何を使っているのか知りたい」
「また食べたいので来月も献立に入れてください」
保健室の先生も生徒たちの体調を毎日気にしているようだ。
ん? もしや、給食室と保健室はグルなのか?
先生たちも生徒と同じメニュー食べている。
しかし教師陣からはその一才がノーコメント。
まさか、分かってて食べさせられている?
ネガティブなホラーストリームが脳内に沸き立つ狂気。
これはもはやホラーを超えたクレイジーだ。
給食メニューは、楽しみなモノの一つ。
今日は何だろう…好きな献立だといいな。
そんな事を思いながら、待ち遠しい給食の
為に、勉強を頑張る。
さて、と或る中学校の6月の給食メニュー。
きちんとした栄養士さんの指導のもとに
愛情と手をかけて作られている。
カロリー計算、アレルギー表示、更には
それを食べた生徒達の忌憚のない感想まで
載せられている。
概ね、生徒達のウケも良い。
しかも、様々な世界の料理を盛り込んだ
斬新なメニューで生徒達の食育も担う。
きちんと、残さずに食べようね。
調理員さん達が、一生懸命作った給食。
糧となった尊い生命。感謝して食べないと
バチがあたる。良くない事が起きるかも
知れない。いや、とても恐ろしい事が
起こるかも知れない。
毎日の給食の献立表はチェック必須。
お家の人たちにも、ちやんと見せよう。
明日はどんなメニューなのかな…。
物凄く楽しみ!!