「ね〜!
今度、新しくできたバル行ってみよ〜よ」
「あ、ソレ気になってた!
い〜ね、行ってみよっか」
たいてい、そんな会話のあと、
クチコミをチェックする。
カクヨムでも、レビューとか見ますよね👀!
ただ、その作品のあらすじが書いてあるだけのコメや、作品紹介を見れば書けるよ〜な2行くらいのコメは、星返し狙いだから無視!
あっつく感想が書いてあったり、ズバリネタバレを避けてその真相を読んで欲しいといったオススメが書いてあるものは、まず間違いなく大当たり作品🎯✨
クチコミの力。
遠部右喬様のこのお作品。
ネット社会で生きる中で、大切なことを再確認できました。
相変わらず、語り口がキレイ✨
物語の導入が何たるか、勉強になります👀✏️
人が自分の耳目で知ることができるのは、せいぜい半径数メートル以内に起きる事柄。その程度です。
広く世の中を知る為には他者から伝えられる情報を受け取るほかはありません。
本作では、そんな人に必須の伝聞。
その不確かさが波及する事柄についての所感が示されています。
その考え方を例示する物語として、平安時代の〝妻問婚〟に至る過程を描いております。
この婿探しの物語。
とてもユーモラスで本作の笑いどころなのです。
ただ驚くべきは、作中の行為が誇張されたものではなく。当時は普通にあった事柄と言うところです。
作者は現代からみたら奇異な事例を面白くしたてて、口コミの不確かさのなかで暮らす人のありさま描きます。
加えて、この話を現代の口コミに依存する事例の暗喩にも用いています。
とても巧みな手腕です。
本作は、噂や口コミ。それに風評等など。
人の生活に関わる不確かな伝達情報と、それへ対処する心構えについて書かれた、とても良いエッセイです。
このレビューを信じて、ご一読ください。
安心してください。
このレビューは、不確かな情報ではありません☺
カクヨムにいらっしゃる皆様なら、なろう系や追放ざまぁなどが白眼視されることもあると同時に、その辛辣な批評は実作品を読まずに書いたものが混ざっているとお感じになることも多いでしょう。見ないで何が言えるというのか。
しかし、なろう系を読まないで、とか、コンビニの新作おにぎりを食べないで、とか言っていたら時間とお金がいくらあっても足りません。嗚呼、外れを避けて当たりだけ引くコスパがいい人生を送りたい……
クチコミとは、つまり、自分で経験せず当たりを引くために縋るものです。ここ、試験に出ますからね。
さて、見ないで品定めなんて虫がいいことが通用するでしょうか。その甘さを突くのが本作です。
その甘さを説明するために例え話に出したのが…… 確かにそうでした、あれは。一本取られました。時代が変わっても人間の本質は変わりません。納得します。
実物を見ないで得をしたい人と、騙して得をしたい人は、不滅です。
え? このレビューがつまらないから読みたくないとおっしゃいますか? いえいえ、ぜひ御自身の目でお確かめください。
するとクチコミを記す私は不要になりますが……
こ、これはとても面白い視点でございます。
いわゆる「クチコミ」について語った内容。現在も世の中を左右しているもので、「バズる」とかの言葉を求め、創作界隈や商品制作界隈では強く求められているもの。
そんな現代性の強いテーマですが、本作では「平安」の世で行われていた内容に焦点を当てています。
娘をより良い家庭に嫁がせるよう、奮闘するパパさんの話。
平安時代と言えば、結婚相手の顔などを直接見ることはせず、歌を送り合うような形でやり取りしていたのが常だった。
だからこそ、「あそこの娘は美人だよ」という噂が立っていると、その評判を元にして「是非ともウチの嫁に」という声もかかっていたとか。
……なんとも、考えさせられる話である。
どうにかして評判を作り出そうと奮闘した人々。そんな中で「美人」というものが作り出される。
これによって「騙された」と後で嘆く人もいたかもしれない。でも一方で、「美人」のイメージが独り歩きし、「こういう顔が世の中では美人としてウケているのか?」と、美的感覚すらも創造してしまっていたかもしれない。
よく、平安時代でいう美人は、今でいう「おかめ」だったという話も聞きます。時代と共に美しさなんて大きく変わる、という話もありますが、実はこれが真相だったのかも。
「美」というのを捏造し、それがあまりにも蔓延してしまった平安時代。それによってみんながみんな、「それを正しい価値観」だと思い込んでいたのかも。
自分は美しいと思っていなくても、周りから「いやあ、すごい美人の奥さんもらったんですってねえ、羨ましい」なんて言われていたら、意外と悪くない気にもなったかも。
「そして小町が生まれました」という、一つの結論に至るのかもしれない。そんな新しくて鋭い視点を得られたような、ハッと目を見開かされる内容でした。