「そして小町は生まれました」と、これが真相だったのかも!?
- ★★★ Excellent!!!
こ、これはとても面白い視点でございます。
いわゆる「クチコミ」について語った内容。現在も世の中を左右しているもので、「バズる」とかの言葉を求め、創作界隈や商品制作界隈では強く求められているもの。
そんな現代性の強いテーマですが、本作では「平安」の世で行われていた内容に焦点を当てています。
娘をより良い家庭に嫁がせるよう、奮闘するパパさんの話。
平安時代と言えば、結婚相手の顔などを直接見ることはせず、歌を送り合うような形でやり取りしていたのが常だった。
だからこそ、「あそこの娘は美人だよ」という噂が立っていると、その評判を元にして「是非ともウチの嫁に」という声もかかっていたとか。
……なんとも、考えさせられる話である。
どうにかして評判を作り出そうと奮闘した人々。そんな中で「美人」というものが作り出される。
これによって「騙された」と後で嘆く人もいたかもしれない。でも一方で、「美人」のイメージが独り歩きし、「こういう顔が世の中では美人としてウケているのか?」と、美的感覚すらも創造してしまっていたかもしれない。
よく、平安時代でいう美人は、今でいう「おかめ」だったという話も聞きます。時代と共に美しさなんて大きく変わる、という話もありますが、実はこれが真相だったのかも。
「美」というのを捏造し、それがあまりにも蔓延してしまった平安時代。それによってみんながみんな、「それを正しい価値観」だと思い込んでいたのかも。
自分は美しいと思っていなくても、周りから「いやあ、すごい美人の奥さんもらったんですってねえ、羨ましい」なんて言われていたら、意外と悪くない気にもなったかも。
「そして小町が生まれました」という、一つの結論に至るのかもしれない。そんな新しくて鋭い視点を得られたような、ハッと目を見開かされる内容でした。