亡き祖父母の古い家を受け継いだ主人公、嶋田崇。
妻にも先立たれ、子も独立した彼の田舎暮らしが始まった――
「魔物が棲む魔の山」
かつてそう言われた土地に、嶋田がこれから暮らす家はありました。
彼は小説家です。ここに越してきたのは、小説のネタ探しが目的でもありました。
中でも関心があったのは「河童」のこと。
幼い頃、祖父からよく聞かされていたのです。
――ここは河童が出るから一人では来るな。
――祖父も河童に遭遇したことがある。
このお話、最初から驚きの事実が提示されます。
そして2ページ目からは、スルスルと最後まで一気読み必至!
嶋田の日記をメインに淡々と進んでいく物語。
静かに――いいえ、
内緒話のように耳の奥から忍び寄る影は「河童」でしょうか。
それとも……
民俗伝承の空気感と、生物学的なリアリティが見事に融合した傑作でした。
まず、1話目の最後がめっちゃ怖いです!
ぜひぜひ、そこまで読んでほしいです。
1話目を読めば、最終話まで読み進めてしまいます…!
小説家が河童の正体を追うストーリー。
警察が変死体の謎を追うストーリー。
その2つが交錯しながら、真相へと近づいていきます。
民俗学とミステリー、どちらの謎解きもおもしろく、そして怖かったです!
伏線がたくさん張られているので、カッパの正体を推理しながら読むと楽しいと思います!
私は全くわかりませんでしたが(笑)、わからなくても楽しいです。
「何!? 何が起こってるの!?」とゾワゾワの連続でした。
個人的な恐怖ポイントは、1話目の変死体の状態と、10話目の変死体になる直前の状況です。
また、最後に明かされる河童の正体も、今まで読んだホラーとは全然ちがっていて、新感覚の恐怖でした((((;゚Д゚))))
正体がわかっても、なお怖いのがすごいです…!
じわじわと迫ってくる恐怖が魅力の作品です。
日記形式で描かれ、小説家の主人公が田舎で新生活を始めるところから物語はスタートします。『河童伝説』の取材を進めるうちに、徐々に違和感が広がり、緊張感が増していきます。
特に一話の終わりで語られる『主人公の状況』には強い衝撃を受けるでしょう。
水死体説やサンショウウオ説など、河童にまつわる考察が次々と登場し、知的好奇心を刺激しつつ、不安が侵食してきます。
さらに、主人公の体の変化や記憶の混乱が描かれ、自身へのコントロールを失っていく恐怖。
単なる怪異譚では終わらず、「自分自身が変わってしまうこと」への恐怖が根底に感じられる作品。リアルな描写と相まって、余韻が残ります。
作家、嶋田は、村に伝わる河童の伝説を調べにやってきた。
そこの村に住む、70代後半から、80代までの方はカッパの伝説を知っており、
河童の正体は水死体であったり、江戸時代の処刑法で肛門から内臓を吐き出させたりされたものの成れの果てなのではないか、などの話を聞くことができた。
……しかし、どうもおかしい。
耳の奥で、声が聞こえる……。
そしてやがて嶋田自身にも異変が起き始め、
ある日彼は……川で溺死体として発見されてしまう。
果たして河童の正体は……?
怪異を扱った怪談話ですが、おどろおどろしくはなく、ス……と読むことができます。
が、オチはめちゃくちゃ怖いです!!
これから夏ですが、川に入るのが怖くなりました!!
暑くなってきた昨今。涼しさを先取りしてみませんか?
ご一読を。