概要
火消しの娘、お芳と情夫の話
幕末――元治元年、江戸。火消しの娘、お芳(よし)の家に、ある男が訪ねて来た。二人は火鉢であたたまっていたが、お芳は火鉢の炭から目を離さず、消す時も火消し壺に入れ、消えたことを確かめた。男はお芳の火の元を観察する姿勢を褒め、やがて名残惜しそうに別れを告げた――京に行かなくてはならない、と。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!三題噺はワンブリッジケーキで!
元は落語の一形態だった「三題噺」。三つのお題を全て取り込んで即興の話を創るという、極めて高度な技量やセンスを要求される芸ですが、本作の作者である四谷軒氏は、今回「初歩」「観測」「末裔」をお題にした三題噺に挑まれました。
どう考えても一つの話にまとめるの無理だろという感じのバラバラなお題ですが、三つのお題を史実に織り交ぜつつ、きちんとしたストーリーに仕上げる作者の手腕は見事です。今回は作品タグを先に読んでもネタバレしないというのもポイント。
本作中の「男」は、その名を歴史に刻んだ期間は実に短く、残りの人生は歴史の教科書では触れられていません。しかし後半生のエピソードを読むと、なるほど…続きを読む