歴史に弱くても面白い。誰もが沼に引きずり込まれる大陸活劇。
- ★★★ Excellent!!!
新選組の原田左之助と山崎烝は、生き延びていました。
謎の薬で少女化しつつ若返る山崎烝。原田はその父親としてふるまい、異国で偽装親子として潜伏します。山崎は男装の姿で鍼を武器に事件を解き、原田は洋装で槍を振るいます。
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新選組好きはもちろん、「新選組を知らないから…」と回れ右しようとした方にも、ぜひ読んでいただきたいです。
見た目は可愛らしい男の子に扮した少女、中身は経験豊富な監察である山崎。
原田も正体を隠して商売をしているのに、時折こぼれる素の本性が実に粋で格好よく、バレないかとハラハラしながら読み進めるうちに二人の背景がどんどん気になってきます。
当時の景色や風習の描写も鮮やかで、作者さまの歴史への愛情が伝わってきます。
ときおり挟まれる新選組時代の回想、とくに油小路事件のシーンは、胡弓の音とともに蘇る場面がぞくりと迫り、思わずため息が出ました。
史実の新選組像や、山崎と原田という人物に興味が湧いてくる一作です。