完結まで読了後のレビューとなります。
お恥ずかしながら、弊方は「歴史小説は全くの初心者」でありながら、
読み進めるたびに当ジャンルの面白さの沼にハマる、
同時に歴史的背景や未知を調べるほどに物語に没入する日々を送りました。
主な登場人物は新選組の原田左之助・山崎烝。
史実の晩年飛び越え、もし生きていたら……?
という世界線で冒険譚として物語は展開されます。
物語のフィクション性において本作一番のミソは、
”禁断の薬”によって、若返り&女体化してしまう山崎。
山崎が直面する、現在や過去をめぐるストーリーには
ユーモアありシリアスあり……。
「でも、女児なんだよね!?」と考えるとクスッとしたりとワクワク満載。
さらに、山崎を一番近くで支える原田との掛け合いは、
毎回ハラハラしつつ、精神的には安心して見ていられるような
確かな絆があり”熱いバディ活劇”と言い換えてもいいかもしれないです!!
我々読者が小説から追体験できるのは、
先生の確かな知識量に裏付けされた異国文化の巧みな描写。
そこに生きる人々の日常、人間模様と時代背景。
そして一番簡単に伝えたいのはクサく聞こえるかもしれませんが
「まさに自分が大陸を股に掛けて冒険しているような体験」でした。
ぜひ、ご一読くださいませ!٩( ''ω'' )و
史実に基づき、歴史上の偉人たちを描く歴史小説は面白いのですが、本作はそれだけにとどまりません。
身体の大きさや性別を欺く禁断の薬や若返りの鍼の存在を駆使し、自ら悪の懐に飛び込んでいく。そこから生み出されるダイナミックでスリリングな展開。時代背景の情景美や旅情豊かな筆致も相まって、事件解決へと導く痛快さが魅力的です。
歴史や新撰組が好きな読者にはかなり刺さるのではないでしょうか。
歴史という共通の素地を甘くも辛くも味付けし、オリジナリティーによる物語の深化が歴史小説の枠を超えていく醍醐味だと強く感じます。
ぜひ、この史実と独創とが絶妙にマッチした作風をご賞味ください。
歴史、あるいは偉人を扱った作品は二種類に分けられると思います。
一つはその作品だけで満足するもの。もう一つは、その作品を通して歴史を知りたくなるもの。
本作は圧倒的に後者です。
読み進めるうちに新選組のことがもっと知りたくなります。
幕末から明治へ――時代のうねりや文化、風俗までを鮮やかに描き出す筆致は見事で、まるで史料が生きているようでした。
主人公・山崎進が監察としての使命を果たすため、姿を変える薬を使い、その副作用で幼い少女へと変わっていく。
そんな山崎をかくまうため、実は生き延びていた原田左之助が「父親」として各地を放浪し、商いを営む——。
といったように、歴史の重厚さがありながらもライトノベルの軽やかさが見事に調和しています。
新選組好きも、歴史好きも、そうでない方も。
どうか幕末の男たちが織りなす、熱くて切ないドラマを見届けてください。
新選組の原田と山崎が主人公のお話です。
山崎は新選組時代に使っていた姿を変える薬の影響で、女児の体に変化してしまいます。
原田と山崎は元新選組であることを隠しながら、親子を装って商売を始めます。山崎が薬のせいで年を取らない、逆に若返ったりするのを隠すために、浅草、上海、サイゴン、漢口、天津と商売の場所を変えていきます。
私は新選組にあまり詳しくないのですが、原田と山崎の関係性は心温まるものがあり、しんみり浸るように読ませていただきました。
個人的には第14話のダンスの回がお気に入りでございます。
最終話もほっこりする感じの終わり方で、幸せな気持ちで読み切らせていただきました(*^^*)
皆様もぜひお読みください!
新選組を知らない方も勉強になって楽しめる!
新選組を好きな方はもっと楽しめる!
そして激動の幕末を駆けた漢達に惚れる‥!
そんな作品となっております。
新選組十番隊長・原田左之助。そしてひょんなことから身体が小さくなってしまい、少女となった新選組監察・山崎烝。
この二人が出会う時、誰も知らない新選組の新たな歴史が動き出す!?
謎の秘薬を巡る戦いや山崎烝の身に起きる不可解な現象のミステリー。
そして土方歳三や永倉新八などのお馴染みの隊士達の名前も登場し、興奮すること間違いなし。
特に最終回は必見です!是非お楽しみいただければと思います(☆▽☆)
新選組で監察をしていた山崎烝は、その役目の為に、性別が変わり、若返り、次第に赤子になって消えてしまう薬に手を出してしまう。
時代が代わり、新選組が瓦解したあと、子どもの姿にまでなってしまった山崎は、名前を変えて隠れ住んでいた原田左之助を訪ねる。
元の姿からどんどん若返っていくかつての仲間、山崎を連れて、原田は大陸に渡り商いを起こしていく。
若返っていくばかりの山崎は、身体は小さくても中身は有能な監察のまま。子どもの身体と優秀な頭脳を活かし、原田と共に親子に扮して大陸の土地を渡り歩いていく。
山崎の有能さで道が拓けていく様は痛快で、原田と山崎のコンビも見ていて楽しい。
けれど、どんどん若返っていく山崎は、それ故の苦悩を抱え続けていて……
歴史背景をしっかり知らなくても、楽しめる物語。次から次へと読む手が止まらず、気づけば一気に全話読み終えていました。
ただ、楽しいだけの旅じゃない。
見せかけの親子の大陸での冒険譚を、皆様もぜひ。
オススメです。
新選組という馴染み深い題材でありながら、これまでにない斬新なアプローチで描かれた意欲作。明治時代のアジア各都市の描写が非常に丁寧で、上海租界やサイゴンの街並みが目に浮かぶような臨場感がある。
歴史小説でありながらファンタジー要素を取り入れた設定が秀逸で、従来の新選組物とは一線を画した独創性がある。擬似親子として生きる二人の関係性が織りなすドラマは、時にコミカルで時に切なく、読者の心を掴んで離しません。
特に各地の文化や風俗、当時の国際情勢への造詣の深さが作品に厚みを与えており、単なるエンターテイメントを超えた文学的価値も感じられる。新選組ファンはもちろん、歴史小説や冒険小説が好きな方にも強くお勧めしたい作品。
完結しているので安心して読めます。