『鏡閾の記憶儀《ミレアス》』

鏡に映る自分が、いつも少しだけ違って見える——そんな違和感を抱えて生きてきた高校生・継名緋真。五歳のあの日、古い姿見の向こうから聞こえた囁き声は、まるで別の世界から響いてくるようだった。
母を失った悲しみの中、遺品の和鏡に触れた瞬間、鏡面は水面のように揺らめき、緋真を未知なる領域へと誘う。そこで出会ったのは、自分と同じ魂を持つもう一つの存在——失われた記憶の化身だった。
新たな学園で織りなす出会いが、封印された過去の扉を開いていく。「あなたの心には、消された記憶の断片が眠っている」少女たちの言葉は、緋真の運命を大きく揺り動かす。記憶と現実が交錯する幻想の迷宮で、彼は自分の本当の姿と、忘れ去られた大切な存在の真実に辿り着くことができるのか。
心の奥底に眠る絆を取り戻すため、緋真は記憶の海へと旅…続きを読む