百合と、紫煙。特異な世界への誘い
- ★★★ Excellent!!!
あらすじにもありますが、『芸術が何よりも価値を持つ』という世界観に、まず惹かれました。
そして、そんな世界で名を馳せる主人公の統香と、彼女を『マエストロ』と呼び慕う機械人形の、一宮。
物語はこの二人を中心として、事件の依頼を受ける形で回っていきます。
それぞれの機械人形が持つ特異な能力を駆使したアクションも見ものですが、私は何よりも統香と一宮の関係性が好きです。
自堕落でありながらも、自身が作り出す作品に真摯な統香。そして毒舌でクールでありながらも、統香にご執心な一宮。
そこから繰り広げられる会話劇と、百合を越えたような関係性から来るある種のもどかしさが、魅力のひとつかなと思います。
さらに、劇中に出てくる他のキャラも、一癖も二癖もあり『癖』を煮詰めたものばかり。
それと軽快な文章が合わさって、唯一無二なものに仕上がっています。
腰を据えて、じっくり読んで欲しい作品です!