概要
記憶と幻想が揺れ交じるなか、男はやがて、自らの心に潜む「ある願い」に向き合ってゆく。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!滅びの美しさに寄り添う時間
言葉ではすくいきれない心の澱が、そっと静かに水面に映し出されたような物語でした。
誰にも気づかれず、それでも確かに存在した魂たちの声が、玉川上水のせせらぎに重なり、そっと心に染み入ります。現実のやるせなさと、ふと訪れる幻想のような時間の狭間で揺れる感情。その繊細な描写に、まるで自身の心の奥底がすくい上げられるような感覚を覚えました。
淡く光るホタルの描写に託された魂の輪郭が、静かに語りかけてくるのです。「僕らはまだ、失格じゃない」――この言葉が、そっと背中を押してくれるような読後感に包まれました。
神崎小太郎さまが紡ぎ出す言葉の一つひとつが繊細で美しく、深く心を打たれました。 - ★★★ Excellent!!!生への執着
一生懸命生きてる姿が好きです。
なので、渡り鳥が羽根を休めている姿を見るのが、大好きなのかもしれません。
ホタル。
鮮やかだけど、今にも消えそうな儚い光。
まるで、命を光らせてるよう。
手に触れると熱を帯びてないのに、
命の温もりを感じます。
太宰治。
ハッキリいってキライでした。
気持ち悪い!
クスリに溺れ、自殺未遂を繰り返す。
芥川賞に落選しただけで、自殺未遂。
気持ち悪い!!
けど、本当に死亡した入水自殺の現場にはイヤイヤとためらう太宰の痕跡があったと聞いたとき、
人間なんじゃん、太宰。
と思いました。
それ以来、気持ち悪いとまでは
思いません💦
生きる。
そのことについて書…続きを読む - ★ Good!失格するのか、もう失格なのか―― 信州から出てきた男性の魂
(★は一つつけましたが、ミシュランガイドのように感じているものです。短いお話には基本一つで「とてもよい」と思っています。マイナスの意味はまったくありません)
三十を過ぎた男、事故物件という、すでに欠けたものを持つ状態の主人公。
太宰治の『人間失格』に惹かれて、すまいを定めて仕事でも失敗をしながらいつかすばらしい伴侶となる異性にであうことに憧れている。
きっと『人間失格』にならずに三十歳をむかえて、けれども『人間失格』のように女性から傷つけられ・傷つけるということもまだ体験していないまま三十歳を過ぎたのだと思います。
ここに現代の独身者の性質が強く表れていて、作品の印象を強くすると私は思い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夜に輝く蛍のように暗い世界を希望の光で照らす、そのような作品
些細なミスを上司に罵倒され、仕事が終わると満員電車に揺られて事故物件の自宅に帰る、そんな暗い日々を送る主人公。
恋人もいない彼の好きなことはある文豪の小説を読むことだった。
そんな彼は、その作家が入水自殺した玉川上水を訪れる……という物語。
主人公の心情や情景を丁寧に描いていて、物語への没入感を深めさせられました。
それによってか、私はこの主人公を、他人事とは思えず、がっつりと感情移入してしまいました。
私のように、この作品の主人公と自分を重ねてしまう人、多いのではないでしょうか。
鬱々とした雰囲気で展開されていくこの物語ですが、そんな中にも、小さいかもしれませんが…続きを読む