『LINKS』

前半の、穏やかで祝福された日常描写がとても丁寧で、
「これは優しい世界の物語なんだ」と読者に信じ込ませる構成が見事でした。

友人との他愛ない会話、家族との温かな食卓、教会という安心の象徴。
それらを一つひとつ積み上げてから、後半で一気に崩壊させる落差が非常に強烈です。

特に、信頼の象徴だった存在が裏切りの中心に立つ展開は、
単なる悲劇ではなく「信仰・種族・恐怖」というテーマを一話目から明確に打ち出していて印象的でした。

日常から地獄へ転落する“始まりの一話”として、
読後に重く、しかし先を読まずにいられない余韻を残します。

独特の世界観と深いテーマ性に引き込まれました。
“名前”が失われた世界という設定が、キャラクターたちの生き方や価値観にしっかり影を落としていて、最初からただならぬ雰囲気にワクワクします。
特に、魔法理論や適正魔法・固有魔法の説明がとても緻密で、ファンタジー好きにはたまらない細やかさです。キャラクター同士の交流や、それぞれの過去・葛藤も丁寧に描かれており、少女たちが理不尽な運命にどう立ち向かうのか、今後の展開が気になって仕方ありません！
“理論”と“感覚”の間で揺れる主人公の視点もリアルで、物語にぐっと引き込まれました。今後も応援したい、そんな作品です。