終章ー黒猫の告解 (真実編)
終章 ― 黒猫の告解(真実編)
すべての嘘が、崩れた瞬間だった。
あの黒猫が咥えてきた一本のスプーン。
それだけで、
積み重ねたトリックは音を立てて崩れていった。
私は静かに、口を開いた。
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「そう。……私が殺した。野村祐一を。
そして、恭子さんに罪を着せた。計画的に、完璧に」
声は、冷静だった。
もう否定する必要がないと悟ったから。
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― 第一の嘘:紅茶
「あの夜、野村に最初に会ったのは、私。
私は彼の紅茶に睡眠薬を混ぜた。ゆっくりと意識が遠のいた彼に、ナイフを――」
殺意は、恨みからではない。
彼が“私の小説を盗作した”から。
私の“心”を、平然と売り物に変えたから。
「でも、ただ殺すだけじゃ足りなかった。
私は“物語としての完結”を求めた。だから――恭子さんを“登場人物”にした」
そのために、
ダイニングからティーカップを二つ持ち込み、
一つに恭子が好むジャスミンティー
の香りを偽装した。
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― 第二の嘘:声
「ICレコーダー。
「まず、私は、アリバイがないように見せかけるため、いつも音楽を流しっぱなしにしているのを
知っていたので、ドアを開ける音を録音した“音があった”という痕跡を残すことになったんです」」
音がする
それだけで人は、「あの人がやった」と“思い込む”
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― 崩れた全て
「……でも、黒猫だけは、物語の登場人物になってくれなかった」
私の部屋に入って、
血のついたティースプーンを見つけ、
咥えて、誰かの前に落とした。
それが、私の“編集されていない真実”。
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ラストシーン
誰もが言葉を失っているなか、
一匹の黒猫だけが、私の足元にすり寄ってきた。
にゃあ――。
私はその声を、**「それでよかったのか?」**という問いだと受け取った。
だからこう返す。
「うん。これが、私の“告解”。
――黒猫、お前が、私の良心だったんだね」
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黒猫の告解 ベガさん @begasan
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