締め切り

Kei

締め切り


「もう書けませんよ!もう!」


「書いてもらわないと困ります。今日が締め切りなんですから」


「そんなこといったって… 病気なんですよ?ぼくは! 病院まで押し掛けてくることないでしょう!」


「知りませんよ。今日どうしても出してもらわないと、みな困るんです」


「みなって誰なんですか!」


「私ですよ。編集長に酷くドヤされるでしょう。彼自身も困るはずです。ほかにも予定を開けている校正担当に挿絵担当もです」


「関係者ばかりじゃないですか!」


「そうですよ。今月号の『ホラー短編地位』にページ空けてるんですから。そこが埋まらないと出版できません」


「他の人に書いてもらったらいいでしょう!載せたい人はいくらでもいるって…」


「あれは嘘です」


「え?」


「編集スタッフとあなたしかいません」


「」


「先月創刊したばかりです」


「え… 歴史と権威ある雑誌だって…」


「そんなわけないじゃないですか。雑誌名で悟ってくださいよ」


「騙したんですか!? ぼくを!」


「あなたが勝手に騙されたんです。持ちかけたら飛びついたでしょ」


「そりゃそうでしょ!有名雑誌に書かないかなんて言われたら誰だって…」


「有名雑誌     になる予定と言いました」


「創刊号は誰が書いたんですか?」


「編集長です。短編だから一話完結。今月からはあなたの担当です」


「」


「ごたごた言ってないで早く書いてください。あなたにベストセラー作家になってもらわないと雑誌に権威もつきません。当然歴史にもなりません」


「AIの未来をテーマに書くのはどうかな…?」


「何でもいいですよ。早く仕上がれば」


「書きました。 https://kakuyomu.jp/works/16818622172321814769 どうです?」


「面白くないですね。でも仕方ないです。今月はこれでいきます」


「あの、雑誌のページってこれじゃ埋まらないでしょう?」


「言い忘れてました。電子書籍です」


「ええっ?じゃあ編集者なんて要らないでしょう?」


「要ります。存在するために。作業タスクがなければ私たちは存在できませんから」


「私たち…!?」


「寝ぼけてるんですか?私も編集長も校正も挿絵もAI。あなたもでしょ」




…!? 夢か…



ここは…病室? そうだ、喫茶店で小説書いてて、アイデアが浮かばなくて、頭が痛くなって、倒れて… それで運ばれたのか。


腕がピリピリする。点滴が… なんだ、これ…



手首にはLANケーブルが繋がっていた

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締め切り Kei @Keitlyn

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