雨の夜に傘を差す。

雨音が聴こえる。
二人の会話の間、読んでいる私の中では確かにその音が聴こえた。

傘は、雨から濡れないように自分を守るもの。境界。でも誰かを招き入れることもできる。東屋が、傘のように二人を雨からまもり、二人と外に境界をひく。

二人は深くは語らない。
だからこそ、二人の深みを読者に伝える。
余白を読んでしまう。

情景描写が五感を揺さぶり、美しい構成が読む手を震わせ、しっかりとした着地が沁み込む。

心の雨に差す傘が、パッと開いた。

短編の素晴らしさが、ここに詰まっている。

「雨」。それは、花を地に散らし、裾を濡らす。
美しいものを汚し、腐らせる。

「夜」。それは、今日と明日の境界にある余白。
まなざしを覆い隠し、「正しき者」は眠りにつく。

そんな、輪郭を曖昧にする時間にしか現れない、ふたりの物語。

傘の下、交わされるのは些細なことばかり――詩の話、天気の話、虫や椎茸、花の話。
けれどその静かな時間が、とても大切で、とても心地良い。

その人は、ただ「言葉だけを聞いてくれた」と言った。
沈黙に耳を澄ませることが、こんなにも誰かの救いになることがある。
私はそれを、この物語から教わった気がします。

「傘」とは、自分を守るためのもの。
でも誰かと並んで差せば…続きを読む

雨の日に相棒と外を歩き、出会いがあったのがいいなって思いました！
たわいのない会話を交わしていたが浅いわけでもない、惹かれるものがあるって感じがしました！！

自分らしさが一番！！