かぁ げ

ふみその礼

第1話 かぁ げ


気づいてるよ

影って

そんなに

その人に忠実じゃない

ときどき

ああ…つまんない って

首をふってる

ワンコがそばを通ると

しゃがんでワンコのまねしてる

ときどきは

わたしを

はなれてるよ

それは

さんびょうはんくらいかな

そのとき

わたしは

わたしのいのちは

目が覚める

そして思いだす


はじめにわたし

影をくださいと

言ったか?

言ってない

なのに

ここに影がいる

何のためにいるのかわからない

気まぐれな幼なじみ


でも

影がついてこなかったら

わたしは

いつでも

そっと

わたしを置いて

ここから消えてしまえる

あの人が見てる前で

そうしたかった

あの時みたいに


そして その時

それを許さなかったのは

はらはらとあわく

雲のしたでは胸を押さえて

消えかかってしまう


光りが嫌いなのに

光りがないとそこにいられない

誰にも聞いてもらえない

かなしみをもった 影

おまえだったね


影のあるわたしだから

あの人の影と

ひとつになれるような

そんな気持ちがしてた

でも

そこでも 影 

おまえが後ろから

わたしを引きとめた


なぜだったのか

ずっと分からなかった

でも きょう

やっと分かった


あの人の影が

みっつになってた

でこぼこでこ

夕日を受けて伸びる

しあわせな影が

そこにゆれている



ふり向いたら

緊張してわたしを見上げる

影がいた

いいんだよね 

これで


わかったよ

おまえがいてくれるわけ


おまえは


わたしが

わたしじゃないわたしに

なってしまうことに

なみだしてくれる

たったひとりの


友だ










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 かぁ げ ふみその礼 @kazefuki7ketu

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