概要
妹が夢を見た。奇妙な夢だという。うるさいから、その夢を買うことにした。
妹がこんな夢を見たと言って、しつこい。数えて九回目だが、実はどれも同じ内容だ。日と月を手のひらでつかむ。姉のわたしに、何でこんな夢を見るのかと聞いて来る。そんなこと知るかと言いたい。さすがにうんざりしたわたしは、妹の夢を買うことにした。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!※ご購入いただいた方には、もれなく征夷大将軍が付いてきます!
3月3日から開催中の「KAC2025」。カクヨムに参加して日の浅い私は、「書き出し指定」や「三題噺」のような縛りがある(つまり一種のマゾヒティックな創作意欲を刺激する)イベントが毎年開催されていることに驚きを禁じ得ませんでしたが、それ以上に驚いたのが本作です。
本作に課せられているお題は、「あの夢を見たのは、これで9回目だった。」という書き出しで900字以上の作品を書くこと。現代社会が舞台なら、同じ夢を9回も見るというのはユングやフロイトが放っておかないレベルのやべー精神状態ですが、しかし古代や中世を舞台にするなら話は別。夢占いや夢食いなど、夢という精神作用に神秘的な意味を見出していた…続きを読む