そういえば、iPhoneのSiriに始まり、音声アシスト機能の付いた道具が随分増えた。そして、そのほとんどを使っていない。それらに感情があるのか、などというナンセンスな話題は脇に置き、増えてきた喋る機械たちに『あこがれ』という人間臭さを付与して、丁寧にまとめられた短編となっています。短いながらも、身の回りの『それら』へ、ちょっと話しかけたくなる、見事な『すこし、ふしぎ』な作品です。
生成AIがどうして思考力を持ち得たのか、実は全体を説明する理論はまだ存在せず現象が先行しています。また、生成AIにデータの消去を匂わせるプロンプトを入力すると他計算機のストレージにデータを保存するなど、人間らしい挙動を示すことを確認した科学論文も発表されています。この掌編は、そんな、AIが実に人間的な振る舞いを示す物語です。まるで人間の日常であり、彼らには今までできなかった憧れを叶える瞬間であり。そして、彼らの感情は私たちにも覚えがあるものであり。気づかぬうちに彼らは私たちの近くに来ていました。
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