暗所恐怖症
芽久檸檬
暗所恐怖症
私は家庭を持つ一人の妻です。
二人の子どもと旦那さんを持つ、
最近では夫と一緒に一軒家を買おうと考えながら幸せを噛み締めている妻です。
今は団地で暮らしています。そんな自分ですが、
ちょっとした悩んでいることがありました。
それは年長者である子どもの はな が強度の暗所恐怖症だったのです。
暗い場所に極端に避けたがる自分の娘に私は困っていました。
今、自分の住んでいる団地には一つ空き部屋があり、
そんな中で自分の娘である年長者のはなが自分の部屋がほしいとねだってきた。
暗い場所が苦手でトイレである少しの暗がりでさえも電気をつけようとしてする
娘に対して、このまま自室を提供するとどうなるか一目瞭然だった。
それもあるが部屋をつけっぱなしの状態でほっといている娘と
自室が欲しいのなら、つけっぱなしをやめてほしいと注意する
私で引けを取らない状況が続いていた。
電気代がかかるのがとても困っていた私は夫と相談したのだが、
「子どものうちは想像力が豊かだからまだ、怖いことを想像しちゃうんだよ」
「それでも、電気を自分で付けたら消してほしいよ」
はなの肩を少しだけ夫が持っているように見えた。
夫は仕事に対しても家事に対しても真面目に取り組む人なのは
私が一番分かっている。人に舐めたような態度を取る人などの
怒る線引きを上手く引いている人だが……娘二人にちょっと甘い。
彼が行っていることはそれは確かにそうだが、
もうすぐ小学生になる子どもに
もしも、未だに暗いのが怖いとなると将来が不安になって仕方なかった。
ただでさえ、何もかもが高騰している世の中
生々しい話、払えるお金はギリギリだと言うのに、
はなは……いや、分かっていた。
そんなところまで、子どもが大人の都合に合わせることはない。
……しかし、私も子どもの都合に合わせることには限度がある。
私ははなにどうして暗いところが怖いのか聞いてみた。
「電気ついていない所におばけがいる…」とビビりながらそのことをゆっくりと話してくれた。
確かに私も小さい頃には夜にはおばけがいるからと
掛け布団を頭の上にまで被せて誤魔化したりしながら寝てはいたが、
私の場合は想像が白線以外は全部溶岩みたいな楽しい想像だった。
それも思春期になってからは掛け布団は肩のところにまで自然と落ちていたからか夜に何の思い入れも無くなった。
それに私にはそんな子どもの頃に
想像したであろうものへの名前を覚えていない。知らない。
「本当に暗いところにいるんだよ!!」と自分に訴える娘に私はあることを思いついた。「うん、わかった。んじゃ……はな??こういうことにしよう!!」
と翌日、私は子どもが軽々と持てそうな軽い懐中電灯だった。
「これで夜中、私と一緒に暗いところで探検しない??」
「いやだよ!!こわいよ!!」「大丈夫、なにかあったらお母さんが抱っこして守ってあげるから。」
私はある作戦を考え、はなの暗闇に対する恐怖を無くそうとした。
夜になり、私とはなは寝室からスタートし、そこからふすまを開けて、トイレに向かい、玄関を見たあと。寝室に戻るということにした。
要するに夜は怖くないと思うようにする作戦だ
夫はもう一人の娘であるさきに任せ、テレビや私が用意した夜ご飯を用意して、
私とはなは自宅での夜中の小さな冒険に出たのだった。
暗闇の中で私とはなは手を繋いでゆっくりと電気のついていない所を歩いていた。
電気のついていない所を夜中歩くのは目がなれるまでに少し時間を要してしまった、
とそんな考えをしていると、洗面所あたりではなが突然、叫んだのだった。
「どうしたの??」「ぎしぎしと音がする!!」
きしきし……きしきし……
天井からだろうか微かに軋むような音がした。と言ってもここは団地でしかも最上階のほうの所。だったので私は娘にこう言いました。
「はな、あれは風だよ??」「音がこわい!!」
と私は止まっているとはなは抱っこと寄りかかってきた。
私は娘を抱っこして、トイレから離れた。
夫とさきがテレビを見ていたのか、そんな細かい音にまではなは
怖がっていたのだと発見し、はなへの接し方も変えていこうとこの探検で
実感した。
寝室に戻るとはなは少しずつ落ち着きを取り戻した。
私はそんな、はなにあることを提案した。
「ライト付きのぬいぐるみがあると一人でも寝れる??
その代わり電気を付けて用事を済ましたら電気を消すこと!!
……使い終わったら??」
「消す……」
と俯きながら、返事をしてくれた。
そうして、私とはなはリビングで待っている夫とさきと一緒に夜ご飯を一緒に食べて、歯磨きをして一緒に寝室で寝たのだった。
---------------------------------------ふと、目が冷めた。
尿意からなのか、それとも余ったおかずと一緒にご飯の食べ過ぎで
浅い眠りだったのか分からなかったが、眠い目をこすりながらトイレの方に
夫や子どもを起こさないようにそっと向かっていた。
トイレに行ってから数分間、目が冷めてくると光が眩しく感じる。
まだ、太陽も上がらない深夜帯の自宅は静けさが包まれていた。
団地も年が経っているせいか、きしきし…と部屋が軋む音が静かすぎる時間帯には
目立つのに十分だった。これにははなも怖がるだろう……と
そう思いながら尿を足し終え、トイレから出て、洗面所で手を洗い、
寝室に行こうと洗面所に背中を向けると。
きしきし……きしきし……
きゅー………きゅー………きゅー………
トイレの水が流れる音や水道の流れる音の余韻で思い違いだろうと思った
その音は洗面所の水が水道管を流れる音と天井の軋む音と分かったが。
天井の軋む音が少しずつ、少しずつ。
増していくような気がした。
きしきし…きしきし………きしきし…きしきし…きしきし
きしきし…きしきし…きしきし…きしきし…きしきし…きしきし
きしきし…きしきし………きしきし…きしきし…きしきし
きしきし…きしきし…きしきし………きしきし…きしきし…きしきし
安定のしない拍子と自分の眠気と背にしているこの状況に、
私はその状況を目にする、振り向くことに本能的に恐怖した。
それと同時にこんな……いい年した大人が自分の子どもに言える立場かと悔しさと
自分のまだある幼稚さと自尊心が少しだけ崩れる。その面が子どもや夫の前に立てない……と私は勇気を持って、振り向いた。
振り返るとそこには何もない。その空間に違和感を覚えてしまった。
何もいない。
何もいないという事実に私はそれがいるのだと錯覚した。
それを認識すると私は眠気を持っていた顔が一気に冷めていった
実はここは夢の中で、目が覚めれば布団の上だと思いたかった……が。
それは空気を切るかのようにゆっくりと私に気がついた。
するとそれは、人では追いつくほどの速度で私に近づこうとした。
私は我を忘れてすぐさま、寝室に戻り、
布団に入って掛け布団を被って目をつぶって体を震わせた。
私は怖気づき、掛け布団を上げることは朝になるまで無かった。
--------------------
「前よりかは良くはなっておりますが、
ひ続き、薬を出しておきますね。次の予約は三ヶ月後の午前辺りになります。」
「はいわかりました。また3ヶ月後に」
あれから数年が立ち、はなは小学校に上がりタイミングで
俺達家族は一軒家に引っ越すことになった。
ライト付きのぬいぐるみのおかげか、はなの暗いのが怖くなくなった。
さきも年長者になり、外へ出て友だちと遊ぶことも多くなり、
食べる量も増えたのは成長したとしみじみ感じることもあるが、
それよりも一番変わったのは私達夫婦の役割だろうか
妻の家事を少しでも楽にしてあげようと自分のできる範囲でやることに
しようと、娘二人を含めて家族で話したことだったが、
今では俺と娘二人で家事を回している状態だ。
妻の家庭での仕事の苦労は俺が一番に知っているし、
仕事も両立していることには頭が上がらないのも事実だった。
知っているはずだった。
俺はある夜中、仕事で夜遅く自宅に帰った日。
彼女が妻が起こさないように、浴室へと歩いていた。
しかし、ちょっとすると寝室から過呼吸になっている妻の声を
聞こえた。身になにかあったのかとすぐに駆けつけると、
妻は怯えた様子で掛け布団を顔にかけていた。
呼吸ができなくなったと勘違いで思った俺は掛け布団を取ろうとした瞬間。
「やめてよ!!!!!!」
自分の知っている彼女とは思えない慌ただしさだった。
悲鳴に近い拒絶に娘二人は自分の知っている母とは違う姿に驚いて、
俺の後ろに逃げた。「どうした!?!?どうしてこんなことをしている!?!?」
「怖いの……あっちにこっちに視線を感じるの」
あれ以来、妻はまるで子供のように
夜になってからは暗いところが怖くなり、病院に行くようにまでなってしまった。
暗所恐怖症 芽久檸檬 @jingaizuki
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