Dear.
はすみらいと
Dear.
「君は『いい人』という言葉をどう思う。」
そう口にしたのはついさっき、その意味を考えるため君は巡らせていることだろう。たぶん何を言わんとしているのかと考え思案する訳で当たり障りのない答えを唱えることだろう。
「そりゃあいい人なんてのは、ほめ言葉だろうよ。あるいは周りの評価、言われて嬉しくない奴なんていない。そうだろう?」
ほらね、でも違うんだそうじゃない俺はそんなことは求めてなどいないんだ、もっとシンプルに。
「言い得て妙だな。評価間違ってはないが、『いい人』って言葉はよぉ、こうだな。誰かにとって都合のいい人っていうことだ、そう思うと悪口なんだよな? しかも気付かぬままに本当に馬鹿だろ。どちらも」
そう言って、一呼吸置くも相手は戸惑い苦笑いするのも重く口を閉ざすことさえ何回見ただろう。
「で、それがどうしたかって? どうもしないさけどな人は相手を評価する上で言葉で傷つける。気づかずにだぞ」
声を荒げ息が上がるのだ、君はと思う。どうして目を背け、驚くんだ君の言葉で俺はこうするのに。
「どうして」と呟いたのは俺だったのか君だったのか分からないもしかしたら、二人同時だったのかさえどうでもいい。ふいに口走るのはそう、言葉で人が死ぬんだ軽はずみな言葉で。録音が始まる死のメッセージ。
「言葉によって人が死ぬ誰が? 僕が? 君が? みんなが。違う、心だろ心なんだ分かるか? 君によって死ぬんだよ。」
きっと自分自身の体は空中に落ちていることだろうなぁ、意思なんてなくても人は殺される故に言霊。
「人が落ちる音が幾度となく降り注ぐ、罪なんて感じずに口にする言葉は君達を死においやる」
Dear. はすみらいと @hasumiwrite
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