骨兆の夢
製本業者
燗淡の夢
いまは昔、山の奧深くに、
旅の商人、此の噂を聞きて、「夢を見せる酒とな、いかにも面白からむ」と興味を抱き、茶屋を訪れたり。店主は痩せ衰へたる
「此の酒を飲むものは、己が
商人、笑ひて曰はく、「代償と? いかにも面白き話よ。我が
かくて
夢醒めたる商人、こを奇妙と思ひつつも、「あの館を得ん」と欲念を抑へ得ざりき。されば彼は商ひを拡げ、幾許の歳月を經て遂には巨萬の富を築けり。
然るに、其の後より
ある夜のこと、壁一面が骨に覆はれたる豪邸にて、商人は獨り酒を酌み交はしてゐたり。と、突然として、あの茶屋の翁、闇より現れたり。
「
「代償とな? そも主が振る舞ひし骨酒が禍のもとなり!」
商人、怒りて言ふも、翁は首を振りて、静かに語りぬ。
「夢は
翁の言葉終るや、骨の壁崩れ落ち、商人は深き闇の中へ消え失せたり。
かくて翌朝、茶屋の座敷には、商人が持ちし豪奢なる指輪一つ残されゐたりとぞ。
かくのごとく、今に至るまでその茶屋には伝はりける。
曰く――
「骨酒を飲むもの、夢を見るべし。ただし、其の夢を追ふも追はざるも、代償を払ふも、悉く己が決むるなり」と。
此れは
骨兆の夢 製本業者 @Bookmaker
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