蟲は蟲でもただの本の蟲ではない竜に溺愛される毒虫の恋のお味は?
- ★★★ Excellent!!!
何回読んでも、まあおもしろいことこの上ない。
徹頭徹尾端から端まで策謀の意図がぎっちりみっちりと張り巡らされた、王様と王妹さまの婚約をめぐる御家騒動。もとい、
「愛するあなたを手に入れるためならば、邪魔者全部皆殺しにします」
という、とっても素直でとってもピュアで、まったく容赦のない大作戦を描いたこの物語――。
そもそも何が発端かと言えば、薔薇の国と称されるフォルモントが現在の落ち着きを手にするまでには大きな争いがあったということ。
そして、その争いには裏にも表にも多大なる犠牲があり、蟲ことヒロインのマガネが、あまりに多くのことを内内に隠したまま、彼女自身裏にも表にも被害をこうむりつつ、その終結へと向けての全ての絵を描いたということが背景にあります。
自らを悪逆の徒として。
国民全てから憎悪されるポジションに自らを据えた彼女は、彼女の描いた絵の通りに玉座に「つけさせた」イフェイオンの掌握下におかれ、地下に幽閉されます(自らの希望通りに。また描いた絵を完成させ続けるために)。
そして、本物語は先の戦いから三年後。
そんなマガネに突然降りかかったことこそが、「ものすごくマガネの好みの顔の男」による求婚だったのです。
さあ、もうお分かりですね。
容赦なし極悪頭脳派ヒロイン・マガネと、彼女を獲得する為なら敵でも王でも全部殺すマン、ツンデレでもヤンデレでもない新しいヒーロー「キレギレ」系、リスイ。
この二人が問題をみっちみちに解決に導きながらジリジリと距離を縮めていく恋愛物語がおもしろくないわけがない。
というわけなので、とりあえず早く読みましょう。