面白かった拙作「るいの島」を見ていただいた方は、わかると思いますが、私は結構、危険な女の化物が好きですこの小説に出てくる妖怪たくじんは私の琴線に触れてしまった化物っぷりだった。村に友人の誘いでやってきた主人公、そこの旅館の女と肉体関係をもつのだが、実はその女にはたくじんという妖怪が付いていた・・・ネタバレになるので詳細は触れませんが、伏線の回収から、たくじんの能力まで最高すぎでした怖くて不気味な話が好きな人は是非
まずはたくじんって何だ?そう思ったらもう作者の罠に嵌っている。そして、この地雷女の凄まじさといったら、想像を絶する怖さがある。もちろん恐怖はそこだけではない。満腹です許してくださいもうこれ以上は処理しきれません勘弁してください、と赦しを乞うてもまだ、これでもかこれでもかと畳み掛けてくる悍ましさと恐怖。地雷女に遊びで手を出した男もクズだが、同情してしまう。たくじんの意味は、最後に判明するが、果たして最後まで正気で読めるかな?
旅先で手を出した女がストーカーになって追ってきた。それだけなら、まあなんとかなったかも知れない。でも全く何とかならないし、何とかなる気がしないのがこの作者の手腕。いや、毎回思うのですよ。なぜそんな絶妙に嫌なところに着地できるのかと(褒めている)。こう、予定調和的なところから、ぎゅるっと反転して身体が傾ぐようなホラーが叩きだされてくる。本作もそんな読み心地でした。とにかく。人の話はちゃんと聞きましょう。