第4話 汗

「私はあなたを保護するためにこちらまでお連れしたのです。少々手荒な方法だったのは申し訳ありませんでした。しかし、これは国の方針なのです。決してあなたに危害は加えませんので」私は言っている意味が全く理解できなかったので、詳細な説明を要求した。すると彼は笑顔で事の詳細を語りだした。「あなたは、発汗検査により貴重な汗をかける献上人として認定されました。そこで我が国の文化保護材として認定が国からおりました。国の文化保護材は国が責任を持って管理をしないといけません。そのため、あなたの身をこちらで管理させていただくことになりました。そして、あなたにはここで汗をかき続けてもらいたいと思います。もうここから出ることはできません。」笑顔でとんでもない事を説明してくるクロサワに一種の狂気を感じながらも、到底受け入れられないその要求に反論する私であったが、そんな気持ちを削ぐ驚愕の発言をクロサワは私にぶつけてきたのだ。

 「しかしながら、国としましても報酬としてすでにあなたのお母様宛に6億の現金を支払っておりますので、契約破棄はできかねます。もし契約を破るのでしたらあなたから違約金として10億を払っていただかないといけませんがよろしいでしょうか」どうやら、私が国に献上される代わりに私の母親は裏で国から多額の報酬を得ていたのだ。そして、到底払えるわけもない金額を要求された私に彼らの要求を断るという選択肢は完全に無くなっていた。こうして、私は死ぬまで国に監禁されながら、汗をかき続けていくという地獄のような生活を送らなければならなくなってしまったのだ。

 汗に辛酸を舐め、汗に踊らされ、汗に地獄まで突き落とされる、、私の人生は汗に呪われているかのようだ。

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献上人 Sugie Bunko @mintiti

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