姫の告解 2
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
お父さま、先日は助言いただきありがとうございました。
ちゃんと謝ったのかとお父さまは仰られますが、私、誠心誠意、勇者様に謝りましたのですよ? 相談せずに捨ててしまったことは悪かったと。ただ、私もあの部屋の事で気に病み、疲れてしまっていて仕方がなかったのです。そう話しますと、勇者様も――君の事は怒ってないよ――そう仰って下さったのですから。
それから、お父様の助言通り、売ってしまった物をすぐさま買い戻そうと致しました。直ぐに友人たちに連絡を取り、商人を呼び寄せました。ただ、売ってしまった装備の多くが、勇者様の所持品ということもあって、高値で買われてしまった後だったのです。取り戻せたのはごく僅かな装備だけでした。
勇者様にそれを手渡すとまた、――ありがとう――と喜んでくださったのです。
ただ翌日のことです。私の目の前を、城の使用人がその買い戻した装備とよく似たものを、不要なゴミと一緒にワゴンに乗せて運んでいくではありませんか! 私は声を上げて駆け寄り、これはいったいどうしたのかと使用人に問い詰めました。
使用人が言うには、勇者様から――これはもう僕には不要なものだから捨ててくれ――と言われたそうなのです。私は使用人が止めるのも聞かず、ゴミの中から勇者様の装備を拾い集めました。私はその足で、勇者様の元へと向かいました。勇者様は忙しそうにされておられましたが、私は臣下の前にも拘らず問い詰めてしまいました。
するとそのことに怒ったのでしょうか、勇者様は装備を城の外へ投げ捨てようとしたのです。私は悲鳴を上げて慌てて止めに入り、なんとか止めることができました。勇者様は臣下たちにそれらを捨てるように命じましたが、私が許しませんでした。私はかつて、あの触れるのも嫌だった奇妙な道具を抱え、涙を堪えながら自分の部屋へと戻り、長櫃の中へ詰め込んだのです。
その後、私は恥を忍んで友人たちにも相談いたしました。彼女たちが言うには――勇者様も意外と子供っぽい所があるのですね。拗ねているだけですよ――と。そして、買い戻すのが難しいのなら、何か代わりの物を送ればいいんじゃないのかと、ありがたい助言を貰ったのです。私は早速、商人たちに最高級の装備を取り寄せるよう命じました。
きっとこれで勇者様は機嫌を直していただけると……、私たちは元通りになると思うのです!
◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇
儂は溜息を吐いた……。
この交易都市の娘の友人とやらを、穏便に消す方法が無いかと思案した。
姫の告解 あんぜ @anze
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。姫の告解の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます