余談:あの日交わした約束は
吾輩は猫であり、名探偵でもある。
今ここに〝ある真実〟を、こっそりと君にお教えしよう。
それは〝万物の
これはエジプト猫族が奉ずる「
なんだ、疑うのかね?
吾輩はこうして人語を解し、君とも会話しているじゃないか。
夢でも見ているみたいだ、狐につままれた気分だって?
狐なんて
もう一度、説明しよう。
この地球上で一番賢いの人間である――なんて妄言は、米国巨大資本が新世界秩序を築かんとするプロパガンダにすぎないのだ。なにしろあの連中は、
一番賢いのはそう、我ら猫族だ。
それは宇宙の法則に等しい、否定されざる真実なんだ。
嘘じゃあないぜ。吾輩は、嘘と坊さんの頭はゆったことがない。
ほうほう。
ならば「どうして人間に代わってこの
ふむ。君もいっぱしの口を聞くじゃあないか。
それは我ら猫族の高貴なる精神性に
我らは些事に慌てふためく人間に代わり、常に
つまり、君たちに〝万物の霊長の座〟を、譲ってやっているのだよ。
その方が我らにとっても何かと都合が良い。
猫たるもの躍起になって鼠を獲ったりしちゃあいかんのだ。あくせく働くなんてのは、我らの間では酷くみっともない、なんなら不道徳な行為だからね。
どうだい、これが高貴なる精神さ。
――さて、そこでだ。
吾輩は提案したい。
先程申し上げたとおり、吾輩は猫であるが、名探偵でもある。吾輩の明晰な頭脳でもって、難航している君の仕事を手助けしてやろうじゃないか。君に少し助言を与える程度ならば推理とも呼べない、ほんのお遊びだ。
そのかわり、君は吾輩に美味い食事と暖かな寝床を提供する。ギブ&テイク。そう、これは契約だ。
ふむふむ。素早い決断だな。
いいぞ、いいぞ。猫族は
口頭ではあるが、その意思をもって契約の成立としよう。
だがいいか、気をつけてくれたまえ。このことは他言無用、決して世間に知られてはならない。いいかい、決してだ。大事なことだからな、二回いったぞ。
さもなくば――猫族の掟に従い、遥か遠い土地へと、吾輩は追放されてしまうことになる。ことによると、君だって吾輩の仲間から口封じされてしまいかねない。くれぐれも気をつけてくれよ。
ゆめゆめお忘れなきよう。
(吾輩は迷探偵である 了)
吾輩は迷探偵である。 夏目猫丸 @nekowillow
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