『ズンドコベロンチョ』につま先だけ(三界火宅エッセイ談)
杉林重工
第1話 『ズンドコベロンチョ』を求めて
『ズンドコベロンチョ』というかの有名な作り話がある。概要の説明は避ける。知らない人は今すぐ検索して、何とか『合法的に(!!)』本編を見てほしい。タモリも一番好きな話だと『笑っていいとも』で言っていた。『笑っていいとも』を知らない人は今すぐ検索して調べてほしい。タモリはみんな知っていると信じている。それでも知らない人は以下省略。
それでも、知らない言葉というのはよくある。例えば、つい昨日『劇場版 モノノ怪 唐傘』を観た。元々テレビ版は大ファンであるが、劇場に足を運ぼうとしてすっかり忘れていた。歳をとるごとに出不精になる。反省。しかし、『劇場版 モノノ怪 唐傘』大変楽しかったため、続編はぜひ劇場へ足を運びたい所存。
ところで、この劇中に『蒐我』という言葉があった。観終わった後も頭を離れず、仕方ないのでネットで検索しようと、一発変換でも出ない、この見慣れぬ文字列を入力したところ、『蒐我 モノノ怪 薬売り』とサジェストで表示された。調べてもわかるわけがないことがすぐにピンときた。この世界には『ズンドコベロンチョ』がたくさんあるのだ。
そんなとき、ふと思い出すことがある。流行に疎いため、最近は誰が有名なのか知らないが、少し前ならわたしのような人間でも、フィギュアスケートの選手の名前を空でも言えた時代があった。浅田、羽生、織田、村主? 他にも……歳は取りたくないものである。
フィギュアスケートについては、ニュースや、試合の中継程度、チャンネルをザッピングしていればよく目にする。今は随分目にする機会も減った気がするが、それはともかくとして、わたしは今でもずっと気になっていることがある。
『トリプルアクセル、トリプルトウループ……!』
実況や解説のお兄様方が熱心に語っていたこの言葉! ——わからん!
いや、当然フィギュアスケートの熱心なファンや、少しでも齧ったことのあるお兄様やお姉様なら常識なのだろうが、わたしのようなずぶの素人には何もわからないのである。縦しんば、トリプルは『三』を表し、アクセルは『早そう』トウは『つま先』ループは『繰り返し』みたいなニュアンスは伝わるのだが、それ以外はさっぱりわからない。
実際の映像を見てもわからない。選手が華麗に美しく宙を舞い、くるくるくるくるくる景気よく回っているのはわかるのですが……
こういう時に、検索が役に立つ。相手が『ズンドコベロンチョ』ならば歯が立たないが、そうでないなら、現代人の強い味方がここに在るのだ。
見てほしい、ウィキペディアからの抜粋である。
『後ろ向きの右足(空中での回転の方向が反時計回りの場合。空中での回転が時計回りの場合は左足)のアウトサイドエッジに左足のトウを突いて跳ぶジャンプをトウループジャンプという』(Wikipediaトウループジャンプ(https://w.wiki/CaXC)2024.12.31 17:55)
——わからん!
まず、『後ろ向きの右足』の時点でもう駄目である。何が駄目って、絵にでも描いたらわかると思うが、足首が間違いなく捩じれ千切れている。痛そう。わたしの右足は幼少期より姿勢が悪いからか、捻挫しがちでよく捩じれるが、それでもこれほど捩じれたことはない。
加えて、その後の文章がまた奇怪である。アウトサイドエッジに左足のトウを突いて跳ぶ? アウトサイドエッジとは、スケート靴の刃のことなのだろうが、そこにトウを突く? もう駄目である。この用語を理解するには、アウトサイドエッジがどれであるかなど、検索に検索を重ねる必要がある。わたしはここで断念した。
そもそも、わたしはサッカーワールドカップの時期になる度、オフサイドを調べてふむふむと頷き、また四年後(?)それを繰り返す人種である。向いていないの一言である。
こうなってくると、いっそのことこの世に存在する奇怪で理解しがたい概念は全て『ズンドコベロンチョ』であってほしいとすら思ってしまう。そうすれば、諦めもつく。
だが、生来わたしはどうも知らない言葉を無視できず、やっぱり見るたび検索しては唸っている。きっと内心、頭の先からとは言わないが、つま先ぐらいは、と思っているのだ。
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『ズンドコベロンチョ』につま先だけ(三界火宅エッセイ談) 杉林重工 @tomato_fiber
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