虹乃ノラン先生の『そのハミングは7』を読んで。

青燈ユウマ

感想。いのちの音がきこえた

虹乃ノラン先生が昨年の第9回カクヨムWeb小説コンテスト「エンタメ総合部門」にて特別賞を受賞された作品、『そのハミングは7』


つい先程、読み終えました。

感動を、感じたことをそのままに書きたいと思います。

あふれそうなので


※ネタバレ注意です※
















綺麗。

これは大河の物語。

音がきこえる。

鳥のさえずり、木々の葉が擦れる音、風の運んでくる匂い、雨の気配の湿気、光……。

その全てに、いのちの音がきこえる。

きこえる

きこえる


きこえる


きこえなかった全ての


あいのおと



生かされてる


まちに、人に、せかいに、あなたに、すべてのものに、ことに


わたしたちはきづかないまま

まもられて

いきている


そんなことにすらきづかないまま


あるいてるのに


なみだをふいてくれるだれかが


あなたがあらわれて


ああ


盲目だったと悟る


そのせかいに


身を置いている奇跡が

ひかりと言わずになんといえよう



ウィンドチャイムが反響する



天使の足音が


いまではわかる


しってる

しってるはずだ

きづかなかっただけ

きづこうとしなかっただけ



ほんとうはさいしょからそこにあったのに

こうもきづかないのかと


くやしくて

でも

きづけたことに

うれしくて


すべてのことに感謝するなんて

バカげてるのに

すべてのことに

すべてに

この世界のすべてに感謝したくなるなんて


あまりに悔しくて


おかしな感情があふれてくる



その不運がよかっただなんて

絶対に言えない

言いたくない

言ってたまるか


なのに


その不運のせいで

見えたものがある

そいつのせいで

きづけたことがある


そいつのおかげで

みえたものがある

そいつがいなきゃ

絶対に

永遠にみえなかったものが


いま、目の前に現れる


この奇跡にかんしゃするなんて 

絶対に認めない

この気持ちを

絶対に認めたくないと


思いながら

頬に流れていく

この感情を

この心の奔流を


どうして


わかってる


それは確かに忌まわしいもので

誰が見ても不運で


そこに意味を見いだすなんて

僕くらいしかできなくて


いや


僕にしかできなくて



霧深い暗い森の


奥の

奥の

奥の

奥のその先


濃霧のその先に

手を引かれ誘われていく


そして辿りつく


振り返ると

全てが

自分の思い込みだったと


暗く見せていたのは


自分自身だったと


その真実に囚われていたのは


囚われたいと願ったのは


自分自身だったと



天が崩れて光が降り注ぐ

みえなかったものを

みようとしなかったものが

みたいと口に出していたくせに

みえないことにしがみついて見なかったものが


いま


はっきりと光の中にあるのを


いま

はっきりとこころがそれをとらえているのを



認識った





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虹乃ノラン先生の『そのハミングは7』を読んで。 青燈ユウマ @yuma42world

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