第7話 最終回ジジちゃん変身?
神さんに魔王を討伐しろとか言わないだろうなと言うと神さんは答えた。
「もちろん言いませんよ、そんなことをお願いしたら[おんぶにだっこ]になってしまいます。この世界のことは、この世界の人間に任せましょう。
神官たちも全力で勇者の発掘育成をして下さいね」
「はい、大神官であるわたくしハポナスめが全力で勇者を発掘いたしましょう」
「でも異世界からの勇者召喚はしないでね。そのせいで滅んだ世界が有るのを私は知っています」
と言って女神さんは神界に帰っていった。
魔王よりも強大な力を持った異世界の未熟な若者が新たな魔王になって世界を滅ぼしてしまったのであろう。儂はそう推察した。
大神殿の神官たちの働きで魔人が現れて悪さをしている国を特定出来た。
儂はこの世界の世界地図を神さんから貰っている。その地図の座標に瞬時に転移出来る能力も貰っていたのに気が付いた。
「キララ行くぞ」
「うん」
儂らは魔人が現れた町に転移出来た。
そこは町の半分が地面ごと消え去っていた。大穴が開いた地面の上空に魔人が居た。
勇者はどこだ?
大穴の底じゃ!魔人に痛めつけられたのか倒れている。
『キララ勇者のところへ転移するぞ』
『うん、行くよジジちゃん』
儂たちは倒れている少年の元に転移した。結構やられてしまっている。
『キララ、治癒するぞ』『了解』
「う~ん」
「君大丈夫?」
「えっ、き君は?」
「私はキララ。あの魔人をここに落とすから君がとどめを刺してね」
「う、うん……」
なにがなんだかわからぬままに頷く少年勇者。
次の瞬間キララは魔人の真後ろに転移して左右の翼をむしり取ってしまった。
「なんちゅう怪力じゃ!!」
背中の激痛に悶えながら魔人が勇者のところに落ちていった。
勇者はキララに気圧される様に魔人の首をはねた。この少年勇者はこの日大きくレベルが上がったそうじゃ。
このようにして人間世界に潜入した魔人どもがあっという間に討伐されて、居合わせた勇者達が大きく成長したのであった。
先陣の魔人たちからなんの報告もないので業を煮やした魔王軍幹部がその町に次々と現れては急遽結成した勇者隊とキララと儂で討伐してしまったのじゃ。
そしてとうとう魔王が現れた。儂は女神の言う通り裏方に徹して魔王討伐はこの世界の人間通者たちに任せることにした。
キララにするように強力な防御結界を各人に張って身体強化などの強化を付与しておく、更に魔王に気取られないように劣化のデバフを掛けておく。
勇者隊の中で1番経験豊富で全体の戦況を分析できるキララに勇者隊の指揮を任せて儂は魔王が引き連れて来た有象無象の魔物どもを引き受けた。
儂はキララの頭の上に陣取り全体の魔物の布陣を確認しつつ、勇者隊の邪魔になりそうな小物の魔物を広範囲魔法で滅していった。
魔人どもがよく使う【ブラックホール】で宇宙のゴミとなってもらう。この世界の宇宙開発までには後5億年はかかるらしいのでそれまでには重力のある星に引き寄せられて微小な流れ星になって燃え去ることだろう。前前世の記憶がそう言っている。
というわけで魔王の配下の魔物は1匹残らず消え去った。儂はキララの香しい魔力を補充して元気いっぱいじゃ。
一方勇者隊はゾンビのように倒れても倒れても儂とキララの治癒により魔王に襲い掛かる。
魔王が恐れおののいている。
そしてとうとう勇者隊の手によって討伐された。
その後儂とキララは大神殿に戻り、女神マリアンジュに報告した。
『ジジちゃんよくやってくれました約束通り人間の身体に戻してあげましょうどんな感じが良いと思いますか?』
「キララが思っているイメージでお願いします」とキララ。
次の瞬間、儂は毛むくじゃらのハンサムな【コボルト】に生まれ変わっていた。
「そんなーーー!!!」儂は絶叫してしまった。
キララは儂を犬のように思っていたということか?キララはニコニコ嬉しそうだし却下不可能じゃのう。
かくして、忠犬ジジが爆誕したのであった。
これでお終い、完結です。
2度目の転生は毛玉だった 霞千人(かすみ せんと) @dmdpgagd
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