第2話 仲のいいお姉ちゃんと妹
雪の降っている日に生まれたから雪という。まるでどこかの映画のキャラのような名まえのつけ方だ。
気に入ってるけどね。
「雪」って名まえ。
白くて、ふわふわ。
やさしく包みこむ感じ。
写真やテレビで見る雪景色はそんな感じだから、ほんものの雪のことだって「好き」と言いたい。
でも、ほんとうに雪が降ると、その雪は冷たくて、体が震え、体の芯も凍って動かなくなる。
だから、「わたしは名まえが雪だから、好きなお天気は雪」とは言えなかった。
雪のお姉ちゃんは
一二月二四日、クリスマスイブの生まれだから「聖」なんだって。
二人とも、冬生まれ。
小さいころから仲のいいお姉ちゃんと妹だった。
お姉ちゃんが
妹の雪も二年遅れで瑞城小学校に入った。両親に
「お姉ちゃんとおんなじ学校がいい?」
と聞かれ、
「うん」
と答えた。入学のためのテストを受けたはずなのだけど、どんなテストだったか、雪は覚えていない。
お姉ちゃんは、成績はいい、活発。でもクラスのリーダーになれる順番をつけるならば、女の子だけで三番めか四番め、男の子も入れた全体では五番めくらいだ。
そのお姉ちゃんの生活が変わったのは、お姉ちゃんが四年生、雪が二年生のときだった。
お姉ちゃんが学校のマーチングバンド部というクラブ活動に入り、トランペットを吹き始めたのだ。
朝に練習のある日は朝早く出て行った。夕方に練習のある日は、遅い時間に、ときには真っ暗になってから帰って来るようになった。
仲のいいお姉ちゃん、いつも雪と遊んでくれたお姉ちゃんが、いない。
いても、家でトランペットの練習ばっかりしていて、あと、マーチングバンドの練習に時間をとられたぶんの勉強をしていて、雪の相手をしてくれない。
文句を言う雪に、お姉ちゃんは、優しく、でもちょっと得意そうに
「雪も、四年生になったらマーチングバンドに入ればいいじゃない? だったらお姉ちゃんもいっしょだから」
と言った。
まあ、そうだけど。
でも、四年生って、どんなに遠い先のことだろう?
それに、「四年生になる」っていうのはお姉ちゃんだけができることで、雪はいつまで経っても四年生にはなれないのでは、と思った。
それでも、雪は四年生になった。
「マーチングバンド部に入る?}とお姉ちゃんに聞かれた雪は、首を横に振った。
「わたし、音楽、あんまり得意じゃないから」
と言う。
それはほんとうのことだった。
とくに、四年生になって、中学校から来たという音楽の教科担任の先生が授業を受け持つようになって、雪の成績は下がってきていた。
何が悪くて成績が下がっているのか、雪にはよくわからない。もしわかっていればその弱点をやっつければいいのだけど、笛も歌も音をはずさないように練習し、できているはずなのに、雪の音楽の点数は上がらなかった。
お姉ちゃんには
「学校の成績なんか、別に気にしなくていいよ。使う楽器だって、ぜんぜんちがうんだからさ」
と言われたけれど、それはお姉ちゃんのように能力があるからこそ言えることだ。そう思った。
ところで、雪の住む
雪は、そんなチームと結んでいる瑞城小学校のチームに参加した。
そこで仲よくなったのが、いまいっしょにいる
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雪の決心 清瀬 六朗 @r_kiyose
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