最終章:未来へ

 絵本から広がる夢


 配信活動の一環として、るるちは自身のイラストを活用した絵本を作る企画を配信で披露することを決めた。暖かな春の陽射しが窓辺を照らし、彼女は少し緊張しながらマイクの前に座った。

「みなさん、今日は特別な配信をお届けします!私が作った絵本の読み聞かせです。これからもっと多くの人に届けられるように、ネットで販売も考えています!」

 配信が始まると、視聴者たちは大いに盛り上がった。

「るるち、本当に絵が上手い!」 「この絵本、絶対買う!」 「感情こめて読むのうっま!」

 彼女は少し照れながらも笑顔で答えた。

「ありがとうございます!これからも頑張って、もっとみんなを笑顔にできるような作品を作りますね!」

 読み聞かせ配信は大成功を収め、その後絵本はネットで販売されることになった。さらに、絵本を購入した親子たちからの温かいメッセージも彼女に届き、彼女の活動は新しい方向性を見出していった。


 絆の深まり


 彼女の新たな挑戦を支え続けた晴人もまた、彼女の絵本作りに深く関わっていた。ある日、彼は配信終了後の彼女に言った。

「甘坂さん、本当に素晴らしい配信でしたね。」

「ありがとう、霧島さん。あなたがいてくれるから、ここまで来られたんです。」

「いや、俺はただのサポート役ですよ。でも、甘坂さんが子どもたちの笑顔を想って作る姿を見てると、俺も何か頑張らなきゃって思うんです。」

 彼女は少しだけ恥ずかしそうに微笑んだ。

「霧島さんって、本当に優しいですよね。」


 告白と決意


 彼女が絵本販売で成功を収めたある日、晴人はついに自分の想いを伝える決意を固めた。夕暮れの公園で二人きりになったとき、彼は口を開いた。

「甘坂さん、俺、ずっと伝えたかったことがあります。」

 彼女は驚いた表情を浮かべながらも、静かに頷いた。

「何ですか?」

「俺は……甘坂さんのことが好きです。ずっと支えたいって思ってます。これからも、隣にいさせてください。」

 彼の真剣な言葉に、彼女の目には涙が浮かんでいた。

「霧島さん……私もです。ずっとあなたに助けられてばかりで、でもそれが本当に嬉しかったんです。」

 二人は自然と手を取り合い、未来を誓い合った。

 

 エピローグ:二人の未来


 それから数年後、甘坂るると霧島晴人は結婚式を挙げた。それまでの二人は、共に過ごす時間の中で少しずつ互いの未来を意識するようになっていた。

「晴人、これからも配信は続けながら絵本を作っていきたい。私の夢を、晴人と一緒に叶えていきたい。」

 彼女のその言葉に、晴人は静かに頷いた。

「もちろん。俺もるるちと一緒に、ずっと未来を作っていくよ。」

 式当日、二人は笑顔で誓いの言葉を交わし、出席した友人たちはその姿に祝福の言葉を送った。

「甘坂さん、本当におめでとうございます!」

「ありがとう、これからもよろしくお願いします。」

 彼女は晴人の手をしっかりと握りながら言った。

「晴人、これからも二人でたくさんの夢を叶えようね。」

「もちろん。るるちとなら、どんな未来でも楽しめるよ。」

 結婚式の後、二人は新生活の準備に追われながらも、変わらない日常を共有していた。ある夜、二人で過去の配信について話していると、晴人が懐かしそうに言った。

「そういえば、るるち……久しぶりにあれが聞きたいんだけど。」

 彼女は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに満面の笑みを浮かべた。

「懐かしいね。じゃあ、いくよ?」

 彼女は画面に向かうように姿勢を正し、晴人の方を見て言った。

「みんなー、明日も頑張るるー♪」

 その瞬間、晴人は懐かしさに目を細め、静かに拍手をした。

「……やっぱりこれだよな。これを聞いて、何度救われたことか。」

 晴人の言葉に、彼女は微笑んだ。

「私も、これを言うたびに元気をもらってたんだよ。」

 二人はその瞬間、過去の時間と今の時間が重なるような、不思議な温かさを感じながら笑い合った。

 二人は笑い合いながら、これからも続く未来を信じていた。

 物語はここで終わりますが、二人の未来はこれからも続いていきます。

 彼女は新しい絵本の構想を晴人と語り合いながら、どんな物語を届けようかと胸を躍らせていた。

「次の絵本、どんな子どもたちに届けたい?」

「もちろん、これから生まれてくる未来の子どもたちにも読んでもらえるような――ね?」

 晴人は微笑みながら答えた。

「そうだな。一緒に、ずっと続く物語を作っていきましょう。」

 二人の笑顔の先には、明るく穏やかな未来が広がっていた。

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