概要
絶望の淵で見つけた翡翠色の花
彼の名前は、ゼナス。誰も彼の名前を覚えてはいない。誰も彼を愛してもいない。彼は、ただの人。道端に落ちている石ころ。でも、星を見上げ憧れて無残に蹴飛ばされ、川に落ちた石ころ。どんなに望んでも手が届かない星を愛した男。星と並び立つためにすべてをささげた石ころ。哀れな男。それが、ゼナスである。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!「推し」は、星のように、ただ見上げるものだと思っていた。
雨上がりの匂いとともに始まるこの物語は、あるひとりの男の静かな孤独にそっと寄り添いながら、その心の深淵を丁寧に描き出していきます。
物語の中で出会うのは、まるで星のようにきらめく歌声。そして、その歌声に導かれるようにして、彼の胸にともるのは、かすかな希望なのか、それとも、募る想いが生んだ執着なのか……。
読み終えたあとに残るのは、ふと夜空を見上げたときに胸がきゅっとなる、あの切なさに似た感覚です。誰かを「想う」気持ちの純粋さと、それにひそむ危うさが、幻想的でありながら現実味をもって胸に迫ってきました。
“推し活”という現代的なテーマを、こんなにも静かに、そして力強く描いたこの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!異色の異世界ファンタジー、あるいは異世界の『タクシードライバー』
主人公のゼナスは郷土の期待を背負って出征するが戦場で負傷し、大きな武勲をあげられず帰郷する。
彼を待っていたのは友人たちの侮蔑の声だった。
ゼナスは故郷を離れ帝国でしがない警備兵になる。
自堕落な日々を過ごすゼナスだが、ある日一人の【歌姫】に出会って彼の生活は一変する……
「こんな異世界ファンタジーがあるのか」
と正直驚いた。
自分の感覚としてはファンタジーよりアメリカンニューシネマに味わいが近い。
読後感に苦味がある。
最初に読んで連想したのは映画『タクシードライバー』でロバート・デニーロが演じたタクシードライバーだった。
あの主人公もベトナム戦争帰りで挫折感を抱いていて、都会で孤…続きを読む