第十章:新たな調和

戦いの終結から数日が経ち、四季国全体が復興と祝福のムードに包まれていた。四季宮では、ルミナ、シリウス、セリアを中心とした英雄たちを称える式典が行われることになった。


式典の朝、ルミナは自室の窓から四季国の風景を眺めていた。春の花々、夏の緑、秋の紅葉、冬の雪。これらが見事に調和した景色は、まるで絵画のようだった。


「ルミナ」


振り返ると、シリウスが部屋に入ってきた。彼の表情は、以前よりも柔らかくなっていた。


「準備はいいか?」


ルミナは微笑んで頷いた。「はい。でも少し緊張します」


シリウスは珍しく優しい表情を見せた。「お前は立派にやり遂げた。胸を張っていい」


その時、セリアも部屋に入ってきた。「二人とも、もう時間よ」


三人は互いを見つめ、静かに頷き合った。彼らの間には、もはや言葉では表せない絆が生まれていた。


大広間は国中から集まった人々で溢れかえっていた。ルミナたちが入場すると、大きな歓声が沸き起こる。


ガイアスが前に進み出て、声高らかに宣言した。


「本日、我々は新たな時代の幕開けを祝福する。ルミナ、シリウス、セリア。三人の勇気と絆が、この世界を救った。そして今、彼らの力により、四季の新たな調和がもたらされようとしている」


ガイアスはルミナに向き直った。「ルミナよ。汝を四季国の守護者に任命する。春の花冠の力と、仲間たちとの絆を胸に、この国の平和を導くのだ」


ルミナは深く頭を下げた。「はい。全力を尽くします」


次にシリウスに向かって、「シリウスよ。汝はもはや冷たき氷の王ではない。温かき心を持つ冬の守護者として、ルミナと共にこの国を導くのだ」


シリウスは静かに頷いた。「承知した」


最後にセリアへ。「セリアよ。汝の忠誠と勇気は、まさに秋の実りのごとし。新たな時代の知恵の守護者として、仲間たちを支えよ」


セリアは誇らしげに胸を張った。「必ずや、その役目を果たしてみせます」


ガイアスは三人に向かって言った。「さあ、新たな四季の調和を、この国に」


ルミナ、シリウス、セリアは互いの手を取り合い、力を合わせた。彼らの周りに、春夏秋冬の力が渦巻き始める。


その光景に、会場中が息を呑んだ。


光が収まると、四季宮全体が一層美しく輝いていた。四季の力が完璧に調和し、新たな魔法の流れが生まれていたのだ。


ルミナは仲間たちと顔を見合わせ、そして群衆に向かって声を上げた。


「みなさん。これからの四季国は、きっともっと素晴らしい国になります。私たち三人だけでなく、皆さん一人一人の力で、この国を、そして世界を守っていきましょう」


大きな歓声が沸き起こる。


式典が終わり、三人は四季宮の高台に立っていた。


「これからどうなるのかな」ルミナが呟いた。


シリウスが答える。「それは誰にも分からん。だが、お前たちと共にあれば、どんな困難も乗り越えられるだろう」


セリアも頷いた。「そうね。私たち三人で、きっと素晴らしい未来を作り出せるわ」


ルミナは空を見上げた。四季の力が織りなす美しい虹が、空を横切っていた。


新たな冒険の始まりだ。そう感じながら、ルミナは仲間たちと共に、四季国の未来へと歩み出した。


(完)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

運命の花冠 ~選ばれし乙女と氷の王~ 月妃 @ichicat5

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ