異世界という名の現実逃避。その先に待つ者は?

 ファンタジーとは現実逃避の文学。

 多くの人がその文言をどこかで目にしたことがあるでしょう。

 本作の主人公も、そんな「ナーロッパ」に代表されるような異世界に逃げ込んで、自分に都合のいい物語の主人公になりたいと願っていました。

 そして、彼が迎えた結末とは?

 「異世界」へ逃避することを「旅人」についての歴史考察と掛け合わせ、思わぬ地平へと導いてくれた本作。
 素材と素材の掛け算がとても綺麗で、そのラストの恐怖のヴィジョンにはひたすら感嘆。

 これを読んだ後は、もう転生者になる夢は持てません!

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