第4話 平凡女子 異世界で王妃する?

携帯を見る2:37。

「あー、10分もボーっとしてたんだ。」

現実主義の私は、とにかく色々あったけど。

お風呂入ろっと。

明日も普通に仕事だし。

ジャージを手に。

深夜3時。

ドライヤーの音が響く。

頭を乾かしながら、脳内で考える。あれは夢?いや夢じゃない。

残念なことに、私の両手の手首。強く握らてた

痕の赤い点々がまだ取れてない。

本当にゼノに手首握られてたんだ。

でも、痛すぎる。今度あったら、謝ってもらうわよゼノ。

そういえばさっき脳内に響いた声。

ゼノじゃないあの声は?

『時間は止まらない。進む。

12月すべての人がハッピーでありますように。』

誰の声だったのかな?

あんな人類愛的な言葉を言える知り合いは、

私にはいない?

ほんと誰だったのかな?まさか私自身が?

「そんな、わけないでしょ!」

ドライヤーを止めて後ろをみた。

女子?女の人がいる。

平成のアムAさんのような洋服だ。

今度は私、タイムトラベルしたのか?

今日は混乱することが多すぎる。

こうなったらしょうがない。

「で、あなたは誰ですか?」

「私は、サバラ王国の元王妃。

ゼノのママですよ。」

「えっ?えっーーー!なんでここにいるんですか?」

「なんでって、ゼノの好きな人の顔ぐらいママとして、見てもいいかなーって。」

なんだ、このひと。元王妃と言いながら、

軽い。ノリが良すぎで、軽すぎる。

もしや、今度こそ夢なのでは、

「すいません。ゼノのママさん、夢かもなので

試しに頬を叩いていただけますか?」

素早く手を見る。可愛らしい小さな手だ。

「えっ?いいの?」

「いいです。お願いします。夢かどうか確認するだけなんで。」

「じゃあ、いくわよ。」

「バッチーン」

「いた―!!」

夢じゃない。痛すぎる。

「あのー、ママさん少しぐらい手加減をして、いただいても良かったのでは?

でもこれ夢じゃないようですね。

本物ですね。頬がズキズキ痛すぎる。」

「ヒカリ、さっきから夢じゃなくってほんとうですって言ってるじゃない。人の話は良く聞かないとね。」

「えっ?ここでは大人ぶる。」なんとなく俺様キャラのゼノのママだと分かる。

体感は痛かったけど。

私は気を取り直して、「ママさん、狭いですがこちらへどうぞ。

お茶入れますね。」

「ありがとうねー。」

服装は可愛いいが、完璧なヤンママのようだ。

私は時間が気になり携帯を見た。

「ヒカリちゃん、それは?」

「携帯です。」

「みんな持ってるの?」

「そうですね。持ってると思います。電話にメール、お財布代わりに。

携帯1個あればカバンが無くても大丈夫です。」

「へえー。便利な世界になったのね。」

私はお茶を出した。ちょうどもらったおいしい、日本茶があった。

「あーおいしい。いい香りね。」

「ありがとうございます。ところで用向きは私と会いたかったということでいいですか?目的達成されましたので早々にお帰りを願います。

明日も仕事がありますので。」

「ヒカリちゃんって案外はっきりしてますね。」

「いいえ。現実主義なだけです。」

「ママさんはポケットから携帯をだして時間を見た。」

「えっ?携帯持ってるんですか?」

「当たり前じゃない。こんな便利なもの。

でもサバラ国では使えないけどね。」

「それってこっちの世界に度々来てるってことですか?」

「そうね、基本月1かな。」

「それはそれは。そうするとこちらの世界の情報もほぼリアルタイムで把握してるってことですよね。」

「そういうことになるかしら。」

ゼノが言ってた」18才になって大人の見聞を広めるための異世界への留学は単なる

田舎のおばあちゃん家に行く感覚だったのか?

なんだか、騙された気分だ。

「それは、ヒカリちゃんの勝手な思い込みでしょう。

時空の違う世界だから、頻繁に行き来が自由にできないなんて誰も言ってないわよ。」

そうだ。ママさんの言う通りだ。ゼノもこちらの世界と時空の線でつながっているって言ってた。

「ヒカリちゃんこれでお互いの環境のことはわかってくれたかしら。」

「そうですね。」

「じゃあ、私は帰ります。ママが息子のお嫁さん、妃のことをとやかくいうことは

あちらの世界でも煙たがられます。

でもこれだけは、言っておきますよ。

ゼノはたった一回だけヒカリちゃんにあっただけなのに。

どうやら一目ぼれをしたようなの。この8年間、他の女子を誰一人みようとしなかった。

でも彼は今、サバラ国の王様なの。私達は引退してるし。彼の力になれる王妃がいいわ。

彼には立派に国を守ってもらいたいの。

でちょっとだけでしゃばって彼の好きな人を見に来たの。突然、驚かせてごめんさいね。

じゃあ、私は帰ります。」

私は素早く立ち上がり、「ママさん、会いに来てくれてありがとうございました。

異世界、サバラ王国のこと聞けて良かったです。」

「じゃあ。」とママさんは光の線の中に消えた。

ゼノのママ、いい人ね。たぶんゼノことが心配でたまらないんだろうな。

私は携帯をみた。4:48。もう少しだけ寝よう。

翌朝6:20。いつも通りに起きて。いつも通りの電車に乗る。会社の業務のいつも通り。少し寝不足だけど何とか仕事一日が終わった。

そうして幾日があっという間にすぐた。

その間、私はYOU TOBU?を見ながら毎日、自宅で踊りの練習。

そして当日が来た。

現実主義でちゃっかりしている私は12日、13日木、金と有給をとり土曜、日曜とあわせて4連休。異世界舞踏会の参加イベントのため。

携帯を見る。0:01 時空の線が光、中からゼノが来た。

「迎えに来たよ。ヒカリ。」

私は部屋で練習着のジャージのまま。「ゼノ、ちっと待って今着替えるから。」

「ヒカリ、大丈夫だ。ドレスは俺様が用意している。さあ、行くぞ。」

私はゼノに手を引かれて光の中に。気づくと前にいたお城の部屋についた。

「ゼノ様、ヒカリ様のお着替えをします。外でお待ちください。」

侍女たちに言わるままにゼノは部屋を出た。

エメラルドグリーンの光沢のある素敵なドレスに手を通す。

座ったままでお化粧もすべて完了。

「できました。」ゼノ様、中へどうぞ。

ゼノは立ったまま言葉がでない。

私は「ゼノ、恥ずかしいから、なんとか言って。」

「きれいだ。ヒカリとてもきれいだよ。

エメラルドグリーンのドレスもよく似合っている。きれいだ。きれいだ。」

繰り返される言葉に「ありがとうゼノ。」

私達は音楽が奏でる大広間に立った。大勢の王族たちと共に踊った。

クルクル回りながら周りの声が聞こえてくる。

「素晴らし。」「ゼノ様。王妃様。」「素敵だわ。」

ゼノは私に耳打ちした。「僕の妃になってくれるね。」

私は「はい。」と答えた。

めでたし。めでたし。ハッピーエンド。




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12月12日クリスマス転スラ女子 京極 道真   @mmmmm11111

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