報道ニュース系ラジオ番組になぜか奈落級の地下アイドルが呼ばれてしまい、地獄みたいな放送になった件。【セリフのみ】
大入 圭
AM11:54~
~♪(オープニングジングル)
「こんにちは。報道リッスンスタジオのお時間です。わたくしジャパン放送アナウンサー
『よろしくお願いいたします』
「はい。では最初の……。って、え?」
『はい?』
「いやあの……。誰ですか?」
『あ! 申し遅れました! 私はアイドルユニット泥団子三期生、
「いや声デカッ! え、ホントに誰ですか!? とりあえず報道番組の声量じゃないですが!」
『あ、えっと。とりあえず本日のゲストということで呼ばれたんですが』
「いやこれたった五分のニュースラジオ番組ですよ!? そういう番組にゲストとか聞いたことないですけど!」
『大丈夫です! 私、ニュースの邪魔にならないことにかけては針小棒大な自信がありますので!』
「もう自信があるのかないのかよくわかりませんよそれ! ていうかすでに結構邪魔になってるんですけど!?」
『好きなニュースはハムスターが滑車でくるくる回ってるやつです!』
「ああもうどんどん勝手に喋るじゃないですか! 五分しか無いのに!」
『まあでも一番好きなのは天気予報ですね!』
「だいぶ珍しいな!」
『明日の天気を賭けて天気予報士たちが熱い戦いを繰り広げる、『みんなの競天』は毎週録画してますし!』
「なんだその番組!」
『推しの予報士はやはり天然パーマの魔術師、フォシズミさんですね。いつも単勝オッズが100倍を超えているところが最高に推せます』
「めちゃくちゃ人気ねえじゃねえか! そもそもなんだその聞いたことない競技! 合法か!? ……って、すみません! なんかもう自分でも驚くぐらい取り乱してます! とりあえずもういいです、天気予報の話は!」
『ナリタマさんは結構ニュース好きそうですよね』
「そ、そうですか?」
『はい。なんかナリタマさん知的そうな感じで、すごく憧れます!』
「あのナリタマさんってやめて貰えます? すごく嫌な略し方なんで」
『あああっ、すみません! 私のテリタマ好きが出てしまいました!』
「いや知りませんよ! もう時間が無いのでニュースに行きますからね!?」
『はい! もうどんどん新鮮なニュースをお届けしちゃってください! 何においても鮮度が大事って、私のおじいちゃんのひとり娘が言っていました!』
「おじいちゃんのひとり娘って、それあんたのお母さんじゃん!」
~♪(落ち着いた雰囲気のジングル)
『あらっ、なんでしょうか。蛍の光のオマージュ曲をパクったみたいな音楽が流れ始めましたけれども』
「ええええ! もう時間ですか!? 番組終わり!?」
『ええっ!? この番組って今日が最終回だったんですか!?』
「いやそういう意味じゃないですよ! まあ今日が地獄すぎて、もしかしたら終わるかもしれないけど!」
『そうとは知らずにすみません……。赤飯しか持ってません……』
「逆になんで赤飯持ってんのよ! いやいいですいいです、タッパー出さなくても。……って、もうあと10秒!? やばいやばい、えーと、そ、それではみなさん。本日は全国的に雨が降っていますので、傘をお忘れなく……」
『えええっ!? あ、雨が降ってるんですか!?』
「そ、そうですけど。どうかされたんですか?」
『すごい! フォシズミさんの予報が初めて当たりました! オッズは単勝600倍です!』
「いやもういいわフォシズミの話はッ!!」
こうして地獄の報道ニュースラジオは幕を閉じた。
今回の放送が各方面でバズり、たった五分の報道リッスンスタジオは一躍有名に。
その後、番組の枠は15分に拡大され、報道リッスンDXとして昇格することになった。
キャスターは勿論、
そして新たにアイドルユニット泥団子三期生の
番組は毎週めちゃくちゃの放送事故祭りで、『報道しないニュース番組』や『番組自体がニュース』などと更に多くの注目を集めることになるのだが……それはまた別のお話。
――――▶▷▷ おわり。
報道ニュース系ラジオ番組になぜか奈落級の地下アイドルが呼ばれてしまい、地獄みたいな放送になった件。【セリフのみ】 大入 圭 @fullhouse_k
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