水族物語

今年で遂に二十歳を迎える大学三年生、「海鳥 凛」。学力は上の中、運動神経もそこそこ、流行りにも鈍感、異性からは煙たがれている。そんな彼にも唯一他者に勝るものがある、そう、水族館への愛だ。小中高そして大学と物心つく頃には彼の側には水槽があった。彼にはたった一人の友人がいる。「磯辺 武蔵」、彼は凛の孤独の理解者であり親友。武蔵は勉強はお粗末だが運動神経抜群で流行り物には目が無い。異性からもモテモテだ。真逆の二人、だからこそ、心が通じ合った。凛が足りない部分は武蔵が、武蔵に足りない部分は凛が、そうして足りない部分を補い合ってきた。
そんな二人の運命は突如として崩れ去った。
日本最大級の水族館にて入館者の大半が神隠しかのように忽然と消え、出口が無くなった。二人は水族館に閉じ込められてしまった。
迫ら…続きを読む