共感とは心の回路を繋ぐこと
- ★★★ Excellent!!!
瞬間記憶能力がある琴は、その能力故に心ない言葉をかけられた過去を持ちます。
それだけではありません。両親は「能力を役立てられる仕事に就くこと」だけしか伝えず、彼女の傷と向き合ってくれません。
私は、彼女がもっとも必要としているのは、「あなただけではない」という素朴な承認メッセージだと感じました。
「あなただけではない」とは、あなた以外の人も苦しんでいるのだから我慢しなさい、という意味ではありません。
「あなただけではない」とは、共感であり、心の回路を繋ぐことです。
しかし、誰かと関わるには、時間とエネルギーを注ぐ必要があります。
一体誰が、人と違う能力を持つ琴と「関わって」くれるのでしょうか?
それは、たまたま電車で会ったアルビノである悠斗でした。
「悩むことばかりだよ。どうしても、周りの人とは違うから」
マイノリティ同士通じ合うものがあったのでしょう。
ただ、悠斗は感情的なリスクを背負いながらも「僕はこれで良い」と思える心を持っています。
本作は、共感を通して、自分を慈しむことができると伝えてくれます。