第8話 新世紀
夜の学校から戻った俺と麻衣は庭で夜空を見ていた。先ほどの出来事を思い出しては二人で小さく笑いあう。
「夜の学校初めて入った。楽しかったなぁ」
「だな! 夏の思い出がもう出来ちまった!」
「直樹の楽しそうな顔、久々に見た」
そう呟いて彼女は可愛く笑う。確かに楽しかった。7月に怯え何かを諦めていたから。でもマンガみたいな出来事が起って久々に心が弾んだ。
「二人ともお待たせ!」
モアがやって来た。手には2冊の黒革の日記帳を持っていた。
「禁書が2冊……? これって」
「そう、禁書のビフォーアフター。だからはい!直樹は今日から日記つけて禁書を創ってね。じゃ、僕は帰るから!」
モアは新品の日記帳を俺に渡し、残った禁書を開く。すると、彼を中心に魔法陣が現れ、黒い稲光を放った。禁書がふわりと浮かび、ばららららとページがめくれる。
「楽しい2日間だったなぁ」
モアが寂しそうにつぶやいた。
「二人ともありがとう」
「ああ、元気でな」
「モア寂しいよ……」
「……世紀末に恐怖の大王が来なかったら、きっと
「「え? また会える??」」
「二人とも仲良くね。
「「!?」」
「超ド級のネタバレをして、帰っていくなぁぁぁ!!!」
俺と麻衣がモアの両親で! あのエロ本は俺の!?
魔法陣と禁書が消えると、そこには麻衣が倒れていた。半透明の麻衣は居ない。
俺は彼女の側に駆け寄り抱き起こした。
「麻衣、大丈夫か!? 戻れたか??」
「う……」
彼女の体は温かく鼓動を感じる。ゆっくりと目を開け、潤んだ瞳で顔を赤らめた麻衣は……
「ばかぁ……」
なんだよ『ばか』って。そんな顔で言うなよ……ドキドキするだろう
彼女は小さく驚き空を指差した。一筋の星が流れる。また会おうな、モア。彼との再会を願い、俺達は流れ星を見送った。
……モアがエロ本だけ置いて行ったことは、俺とモアだけの秘密である。
その後、俺は奮起して高校入学、麻衣と新世紀を迎えた。様々な苦難を乗り越え結婚、からの麻衣の懐妊。
そして、2010年の7の月に彼は生まれる。勿論、彼の名は……
平成☆アンゴルモア! 雪村灯里 @t_yukimura
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